一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
59回大会(2007年)
セッションID: J2-5
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バングラデシュの家族における高齢者と若者の間の世代間交流と相互支援
*チョービ カニズ カムルン ナハル
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抄録

<目的>伝統的な家族制度やその支援のネットワークは、開発国および開発途上国における社会・人口統計的な変化と近代化の進展のために、急速に変容しつつある。家族においても、伝統的な統合家族は衰退し、かつてあった活動の機会や利益を失いつつある。本研究では、家族の社会的地位、経済状況、家族員の内的結びつき、物の見方や考え方の伝承・交流、相互支援、家族の衰退などについて、合同家族、拡大家族、核家族別に世代間交流について分析、考察することを目的とする。 <方法>バングラデシュの北部にあるGaibandha地区の都市地域に居住する300家族を意図的に抽出して面接調査を行った。データは、家族形態別に分類され、分析・統計を行うためにSPSS統計パッケージを使用した。 <結果・考察>家族形態の約半数は、核家族(49.7%)であり、合同家族は40.7%、拡大家族が6.7%で、わずか3%が独居者であった。しかし、49%以上が同一家屋に居住することを希望しており、89%以上が合同家族での生活様式が、最大限の利益があると考えている。また約58%が合同または拡大家族では、高齢者の家族への貢献の機会がより多くあると信じている。主要な援助領域は、しつけ・教育(15.9%)、助言を与えること(14.9%)、子どもの世話(12.2%)、病人の介護(10.3%)、玩具や楽しみのためにお金を与えることなど(8.4%)、幼稚園や学校への子どもの送迎(4.6%)、経験の分かち合い(6.1%)、過去の生活史、昔話をしたり、ゲームをする(5.7%)であった。高齢者は、高齢で健康状態がすぐれていないにもかかわらず、家族に対して、力強い役割をはたしていた。この調査結果は、様々なやり方や手段を通しての世代間交流を立証するものである。しかし、いくつかの要因によって、世代間交流は弱められている。例えば、生活様式の様々な違い(31%)、考え方の相違(25.2%)、財政破産(17.3%)などが主たる要因である。

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© 2007 一般社団法人 日本家政学会
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