抄録
目的 わが国の環境に適した快適な着衣のあり方を検討するためには、日本で市販されている着用衣服の顕熱・潜熱抵抗値の測定を行い、データベース化することが重要であると考えられる。そこで、本研究では日本人成人女性標準体型の発汗サーマルマネキンを用いて女性用日常衣服の顕熱・潜熱抵抗の測定を行い、その評価法の確立と共に材料特性との関係について検討を行った。
方法 サーマルマネキンは、田村らが開発した可動型発汗サーマルマネキンで、日本人成人女子標準体型マネキン(HQL・七彩製)が使用されている。測定衣服は女性用単品衣服(肌着から外衣まで、靴を含む)28種と組み合わせ衣服7種(春秋季、夏季、冬季、梅雨季)で、各衣服着用時の全体・部位別の顕熱・潜熱抵抗を測定した。測定条件は、顕熱抵抗においては環境条件20℃・50%RH、マネキン表面温は人間の平均皮膚温分布(平均皮膚温32.9℃)、潜熱抵抗においては環境条件33℃・50%RH、マネキン表面温33℃均一とした。両実験とも定温度制御とし、測定時間は安定状態に達してから30分間で、1分間隔でデータを採取した。
結果 主な結果は以下に示す通りである。1)本実験に用いた単品衣服の有効顕熱抵抗は0.01~0.57 clo、有効潜熱抵抗は0.001~0.13 kPa・m2/Wに分布した。2)組み合わせ衣服の有効顕熱抵抗は0.37~1.14 clo、有効潜熱抵抗は0.024~0.033 kPa・m2/Wに分布した。3)単品衣服の抵抗値の和から組み合わせ衣服の抵抗値の予測、顕熱抵抗値から潜熱抵抗値の予測の可能性が示唆された。