一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
59回大会(2007年)
セッションID: P-140
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カスタードクリームの性状に及ぼす加熱温度の影響
*平島 円石野 左記子石見 百江高橋 亮西成 勝好
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抄録

【目的】 カスタードクリームを作るときには一般的に直火加熱と湯煎加熱による2種類の加熱方法が用いられている.これらの方法では,カスタードクリームの出来上がりの性状(おもにかたさ)に違いがある.そこで本研究では,加熱温度を変えることにより,カスタードクリームの性状がどのように変化するか検討した.また,そのカスタードクリームの嗜好性について官能検査により調べた.
【方法】 加熱温度を80ºCと90ºCに設定し,2種類のカスタードクリームを調製した.原料には市販の卵黄,グラニュ糖,小麦粉および牛乳を用いた.調製したクリームの粘度は定常ずり粘度測定により調べた。また,澱粉の糊化状態を検討するために示差走査熱量測定(DSC)および顕微鏡観察を行った。クリームの嗜好性を調べるために3点識別嗜好法を用いて女子学生135名により官能検査を行った.
【結果】 2種類のカスタードクリームでは,90ºC で加熱したクリームのほうが粘度は高かった.小麦粉中の澱粉の糊化は50ºCから100ºCの広い温度範囲で起こった.したがって,加熱温度が高くなるに伴い澱粉の糊化の起こる割合が高くなり,澱粉粒子から溶出したアミロースやアミロペクチンの数が多くなるため,粘度は高くなると考えられた.官能検査では2種類のクリームを正しく識別したパネルは135名中80名であり,試料間には差のあることがわかった.その中で80ºC 加熱のクリームを好むと答えたパネルは39名,90ºC加熱のクリームを好むと答えたパネルは41名であった.粘度測定の結果からは明らかに加熱温度により,かたさが異なっていたが,カスタードクリームの好みはかたさにより判断されていないのではないかと考えられた.

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© 2007 一般社団法人 日本家政学会
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