一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
60回大会(2008年)
セッションID: 3B7
会議情報

3日目口頭発表
アサリの冷蔵貯蔵によるエキス成分の変化
*井上 あゆみ米田  千恵
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

目的アサリなどの二枚貝は、殻付きの状態で販売されることが多いが、貯蔵初期には生きている状態であり、貯蔵方法の良否によって鮮度変化の様相も異なるものと考えられる。本研究では、活アサリを冷蔵貯蔵し、エキス成分の変化と加熱による開殻状況を調べた。
方法愛知県産活アサリを試料とし、以下の2群に分けて、4℃で9日間貯蔵した。食塩水浸漬群は、試料重量の2.5倍量の3%食塩水に浸漬し、食塩水は毎日交換した。水切り群は、試料を水切りした状態で貯蔵した。軟体部から過塩素酸抽出液を調製し、ATP関連化合物量(HPLC)、遊離アミノ酸(高速アミノ酸分析計)、コハク酸(酵素法)を測定した。また、15個体を重量の2.3倍量の水(15℃)または沸騰水で加熱し、開殻状況を調べた。
結果貯蔵0日目の遊離アミノ酸総量は、1,281~1,499mg/100gであり、両群とも、タウリン、グリシン、アラニン、グルタミン酸が、貯蔵期間を通じて総量の80%以上を占めていた。遊離アミノ酸総量は、水切り群では有意な変化を示さなかったが、食塩水浸漬群は、貯蔵1~3日目に増加し、5日目以降に減少した。ATP関連化合物総量は、貯蔵0日目に3.6~4.2μmol/100g含まれ、両群とも0~3日目では、ATP、ADP、AMP、IMPが総量の90%以上を占めていた。初期腐敗である5日目以降に総量は減少傾向を示し、とくに食塩水浸漬群で大きく減少した。コハク酸量は、貯蔵期間中に、顕著な変化はみられなかった。開殻状況を調べたところ、貯蔵3日目までは全ての個体で加熱により殻が開いた。

著者関連情報
© 2008 一般社団法人 日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top