一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
60回大会(2008年)
セッションID: 2B7
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2日目口頭発表
ヒドロキシプロピルメチルセルロース添加米粉パン生地の流動特性
*小谷 スミ子
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抄録

【目的】小麦アレルギー患者が安心して摂取できるグルテンフリー米粉パンを製造するため、昨年度使用制限が解除された増粘多糖類ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCと略)添加米粉パンの適切な製造条件を見出した(小谷2007)。本年度は、生地の粘度を測定し製品の焼き上がりとの関連を検討する。 【方法】1.試料:主材料として米粉・コーンスターチを、副材料として食塩・上白糖・乳製品・油脂・HPMC(信越化学_(株)_)・水を用いた。2.コーンスターチ添加量・加水量・HPMC添加量を変えて調製した生地の粘度をコーンプレート型粘度計TVE-22(東機産業_(株)_)で測定した。コーンロータは標準およびSPP、試験温度は20℃、サンプル量は0.4ml、プレヒートは60秒とした。3.ずり履歴生データからチクソトロピー特性値Th、粘稠性係数K、流動性指数n、Casson降伏値Scを求めた。試料間の差はt検定により解析した。 【結果】1.ずり履歴:HPMC添加米粉パン生地はロータの回転数を上げると構造破壊が観察された。一方回転数を下げると著しい構造回復が見られ、HPMCによる極めて興味深い現象と思われる。2.基本配合割合の生地(主材料:米粉70%・コーンスターチ30%、副材料:食塩2%、上白糖7%、スキムミルク4%、マーガリン7%、HPMC1.6%、水76%)の流動特性値は、Th=638±32 %・rpm、K=33.3±4.6 ×10^4mPa・s、n=0.546±0.025、Sc=156±10 Paであった。3.コーンスターチ添加量、加水量、HPMC添加量を変化させた生地の粘度とパンの比容積と官能検査の関係を検討した結果、HPMC添加米粉パン生地はみかけの粘度を20~40 ×10^4 mPa・sに調整すると製パン性が良好になることが示唆された。

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© 2008 一般社団法人 日本家政学会
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