一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
60回大会(2008年)
セッションID: 2B10
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2日目口頭発表
ソバ葉粉末添加パウンドケーキの物性とラジカル捕捉活性能
*粟津原 理恵金安 絵美原田 和樹長尾 慶子
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抄録

【目的】ソバ葉はソバ種子に比較して抗酸化作用などを有するルチンが多く含まれることから、その健康増進効果が注目されている。本研究では、未だ利用度の低いソバ葉の食品への有効利用を目指してソバ葉の添加量を変えたパウンドケーキを調製し、物性、嗜好およびラジカル捕捉活性能の観点から、ソバ葉の最適添加量を検討した。
【方法】試料は、小麦粉にソバ葉乾燥粉末(日穀製粉_(株)_製)をそれぞれ0、5、10、15wt%添加し全量を100gとした粉に、定量のバター、砂糖、卵、膨化剤を混和したバッター試料と、それらを170℃で14分間焼成したケーキ試料とした。物性評価には、バッター試料のCasson降伏値および粘度と、焼成ケーキ試料内部の圧縮エネルギーを測定した。外観評価には、明度(L)、色度(a,b)および色差(?E)を測定し、官能評価とあわせて品質を総合的に評価した。抗酸化能は、凍結乾燥後粉砕した各試料のエタノール抽出液10mg/mlを原液として、化学発光法によりペルオキシラジカル捕捉活性を測定し、発生したラジカルの半分量を捕捉するIC50値で比較した。
【結果】15wt%ソバ葉添加バッター試料のCasson降伏値および粘度は無添加試料に比べ有意に上昇し、焼成ケーキ試料の圧縮エネルギーはソバ葉添加量の増加に伴い増大した。ソバ葉添加により、ケーキのL、b値が低下し色調が暗く青味が増して無添加に比べ?Eが顕著に変化した。ソバ葉添加量の増加に伴いIC50値が低下し、15wt%添加試料では0.35%と高い抗酸化能を示した。ソバ葉添加量が大なほどケーキの抗酸化能は高まるが、食感が硬くなり焼き色も暗くなるため、総合評価ではソバ葉10wt%添加が有意に好まれた。

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© 2008 一般社団法人 日本家政学会
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