一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
61回大会(2009年)
セッションID: 2P-31
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小学校「総合的な学習の時間」にみられる食育
*今津屋 直子
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抄録

目的:小学校において食に関する教育については保健や家庭のような教科で取り上げられることが多かったが、学習指導要領(2008)にみられるように、今日では学校の教育活動全体によって食に関する指導を進めていくことが求められている。本研究は小学校における食育の実践を通して、食育の総合的な学習の時間および家庭科への導入について検討した。また、食育を実践できる教員の育成は教員養成校の課題のひとつという認識から、小学校の食育に対する教員養成校の関わり方について検討した。 方法:京都市立K小学校では、総合的な学習の時間に食育を導入しており、地域学習単元として「大豆」をテーマに、大豆の栽培、収穫、大豆や味噌を使った食べ物の調製まで、一連の学習活動が行われている。その活動の一部である味噌汁の調理実習授業に、筆者と大学生が参加し、参与観察を行った。授業で用いられた調理操作について家庭科の授業の成果がみられるかどうか、「家庭」の教科書で扱われている調理操作を参考にして検討した。総合的な学習の時間•家庭科の学習計画、および家庭科の学習状況については担任教諭へのインタビュー調査を行った。 結果:総合的な学習の時間の児童の活動から、家庭科で学んだ栄養素や調理実習の学習効果をみることができた。食育を教育活動に取入れていくには、総合的な学習の時間のような横断的総合的な指導、そして学校全体の組織が関わり易い授業を中心に取り組むのがよいことが示唆された。家庭科で学んだ知識や技術は、総合的な学習の時間のなかで学習の成果となって現れ、活用させることでさらに高められていくと考えられる。大学生にとっては、学童期の子どもへの理解を深め、食育を学ぶ機会として重要であることが示唆された。

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