一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
61回大会(2009年)
セッションID: 3F-6
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南極大陸において曝露された繊維材料の表面変化
*野田 明日香吉田 恭子志波 佑理子的場 春香横山 宏太郎菊池 雅行奥野 温子
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抄録

目的雪と氷で覆われた南極大陸は、地球上の低温環境の代表的なところのであり、強風、降積雪など極めて厳しい気象条件と標高が高いため低酸素という悪条件を備えている。又、オゾン層の破壊は1979年から約30年間で日本の面積の約80倍にまで拡大しており、有害紫外線の人体へ及ぼす影響は今や深刻な問題である。そこで、H.16年より南極越冬隊の協力により様々な繊維曝露を行ってきた結果、特に天然繊維表面にオリゴマーや結晶性物質の付着が確認された。その原因を究明するため、1月から3月までの気温が南極とほぼ一致する新潟県上越市での曝露や温和な環境である兵庫県西宮市での曝露、さらに低温環境での影響などについて検討を行った。
方法代表的な衣料素材(ホ゜リエステル・ナイロン6・アクリル・綿・羊毛・絹)について旗状の試料を作製し、南極の昭和基地の東オンク゛ル島米子沢にあるイメ-シ゛ンク゛リオメータアンテナの支柱を利用し、曝露を行った。また、比較のため上越市や西宮市でも同様に曝露を行い比較すると同時に、雪や風による影響を考慮するために、実験室に寒冷地環境における諸条件の設定を行い検討した。これらの結果は電子顕微鏡による観察により分析を行った。
結果南極域で曝露された繊維表面には強い紫外線によりクラックが生じると同時に強風により極表面層が削り取られ特異な形態が確認された。一方、上越市と西宮市とでは気象条件の違いにより異なる形態が確認された。また、実験室にて南極の気象条件に近い環境を作りだし放置した試料には同様の結晶性物質が確認された。このことから、南極曝露により得られた結晶性の物質やオリゴマーの発生要因は気温・水分に影響される所が大きいと考えられる。

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© 2009 一般社団法人 日本家政学会
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