一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
61回大会(2009年)
セッションID: 3H-9
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高校家庭科教員の住居学習の意識に関する考察(第2報)
自由記述回答からの分析
*宮崎 陽子岸本 幸臣岡村 美穂
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抄録

目的 本研究は、家庭科での住居学習の指導実態や困難性について高校家庭科教員の意識から把握し、その改善課題とともに家庭科での住居学習の意義を考察することが目的である。なお本報告は、本学会第60回大会における同題発表の続報である。
方法 大阪府と群馬県の普通科高等学校(一部実業科)の家庭科教員を対象に、郵送方式でアンケート調査を実施した。調査時期は平成19年9~10月で有効回収票は118票、有効回収率は37.0%である。今回は自由記述回答(34票)に主軸を置いた分析を行った。
結果 (基本属性)前報に同じ。(家庭科について思うこと)「家庭科の必要性・重要性」の記述が自由記述の約6割(20票)を占める。具体的理由としては、家庭科が「生きる力」を習得する教科であることや「家庭の教育力の低下」を指摘する意見があり各々2~3割程度みられる。また家庭科の「単位数減や時間数の少なさ」にも約6割が意見を述べ、ほぼそれとの文脈で「教える内容が広範囲」との記述が2割強ある。そして十分に教えられない現況を「残念」に思う意見が全体的に多い。(住教育について思うこと)住教育の自由記述回答者は、住居領域指導をした教員の2割(19人)と、していない教員の4割(15人)であった。指導が困難という記述が多い中で「時間数が足りない」を理由に挙げた者は4割強みられる。(住居学習の自己評価と意欲)自身の住居学習指導に納得している教員は3割強、指導への使命感は5割弱で、家庭科全体に抱く満足度や使命感と比べると低い。(まとめ)教科自体の指導困難性が進む中で、住居学習のそれは深刻化しているとみられた。家庭科の意義と連動させた住居学習の内容や指導方法の再構築は改善課題の一つと考える。

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© 2009 一般社団法人 日本家政学会
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