一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
62回大会(2010年)
セッションID: 2P-24
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蒸し調理に関する研究
「きょうの料理」からのレシピ検討
*中谷 梢升井 洋至
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抄録

[目的] 近年、食品や調理器具の多様化と家庭における調理負担の軽減化が進み、特に蒸し器の利用や蒸し調理の減少が予想される。前回の一般家庭における『蒸し調理に対する意識と調理の実態調査』1) では、蒸し物は好きだが、調理頻度は少なく、比較的手軽に調理ができて季節感のある料理を、様々な調理器具を用いて調理していることが示唆された。そこで今回、今日に至るまでの日本の家庭における蒸し料理の変化を見出すことを目的に、戦後から現在まで一般家庭の料理書として利用されている『きょうの料理』を調査対象に、過去30年間の紙面に掲載されている蒸し料理を抽出し、検討した。
[方法] 武庫川女子大学付属図書館所蔵の『きょうの料理』1980年1月号~2009年12月号の30年間に掲載されている蒸し料理の献立名、主食材、調理器具、調理法を年代・月別に抽出し、検討した。
[結果] 『きょうの料理』に掲載されていた蒸し料理は6%と少なく、1980年代から2000年代にかけて減少していた。季節では、10月~3月の寒い時期は多く、4月~9月の暖かい時期は少なく、旬の食材を用いた料理を掲載していた。使用する食材は、「魚介」、「野菜」、「鶏肉」の掲載数が多く、「卵」は調理法の中で蒸し調理の占める割合が多かった。調理器具と調理法の記載では、蒸し器で「蒸す」が最も多いが、2000年代では、電子レンジ調理や鍋やフライパンで「蒸し煮」や「蒸し焼き」調理が増加し、調理の簡便化がみられた。また、スチームオーブンやホットプレートを使った蒸し料理の紹介もあり、調理器具の多様化がみられた。以上から、今日の蒸し調理は簡便化と多様化の二極分化の傾向にあると考えられ、今後蒸し料理における調理器具や調理法の新しい展開が見込まれた。1)日本家政学会第61回大会研究発表要旨集37頁

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