一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
62回大会(2010年)
選択された号の論文の297件中1~50を表示しています
  • 三森 一司, 加藤 由美子
    セッションID: 2A-1
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    目的 じゅんさい(Brasenia schreberi)は多年生の水生植物で、ゼリー状の透明な粘膜に覆われ独特のヌメリとツルツルした食感を有する秋田県の特産品である。本研究では、抗酸化作用、抗動脈硬化等の生理作用が報告されているポリフェノールに着目し、包装形態の異なるじゅんさいのポリフェノール含量の違いと調理加熱や冷凍に伴うポリフェノールの消長について検討を加えた。
    方法 ポリフェノールの抽出は中林らの方法に準じて行った。ポリフェノール量はFolin Denis法を用いて760nmにおける吸光度から求め、二次元のペーパークロマトグラフ法によりポリフェノールの同定を行った。
    結果 袋詰めじゅんさいに含まれるポリフェノール量は、ナシやリンゴの未熟果に相当する496 mg/100gであり、二次元のペーパークロマトグラフ法により、移動性会合型タンニンとD-カテキンが分離・同定された。包装形態によるポリフェノール量の相違を調べたところ、袋詰めが一番多く、次いで生、瓶詰めという結果が得られた。加熱に伴うポリフェノール量の変化は、加熱1分後に約1/3に急激に減少し、その後の減少は緩やかであった。じゅんさいのポリフェノール量の減少に伴い、加熱溶液中のポリフェノール量が増加したが、じゅんさいから損失した量よりも加熱溶液に溶出した量が少なかったことから、溶出だけでなく、熱による酸化・分解によってポリフェノール量が減少したものと考えられた。冷凍によってもポリフェノール量は減少したが、低温短時間で冷凍した場合よりも高めの温度で冷凍した方が、冷凍時間が長くてもポリフェノールの減少は少なかった。
  • 原田 和樹, 前田 俊道, 執行 正義
    セッションID: 2A-2
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    【目的】ネギの染色体に、分球性タマネギのシャロットの8種類の単一異種染色体をそれぞれ加えた新しいネギ属植物の創造に成功している(Shigyo et al., 1996)。そこで、添加染色体上の異種遺伝子によって発現させたネギの新たな形質が、ネギが持つ抗酸化性にどの様な影響を及ぼすかを報告してきた。今回は、新たな形質を持つネギを蒲鉾に添加することにより、蒲鉾の抗酸化性を増加させることができるかどうか検討した。 【方法】供試ネギ試料は、染色体工学、すなわち、人工交配による染色体数を増加させる方法で得られた、シャロットの第6染色体を持つネギを使用した。ネギのパウダー含有蒲鉾の試作は、山陽食品工業(株)によって行われた。試料溶液の抽出は70%エタノールで行った。抗酸化性は、米国農務省(USDA)推奨のORAC法を用いた。ORAC法の手順は、定法に基づき親水性ORAC値を求めた。単位は、μmol Trolox当量(TE)/100 gで示した。 【結果】ポリフェノール産生をつかさどるシャロットの第6染色体を持つネギのパウダーを4.8%含有した蒲鉾試作品のORAC値が460 μmol TE/100 g、コントロールとしてのネギのパウダーを4.8%添加した試作品が376μmol TE/100 g、無添加の蒲鉾が166 μmol TE/100 gであった。蒲鉾製造過程の加熱操作により、ネギのパウダーを加えた試作品はORAC値の34%が失活し、第6染色体を持つネギのパウダーを加えた試作品はORAC値の57%が失活した。それでも、第6染色体を持つネギのパウダーを蒲鉾に加える事は、優位に蒲鉾の抗酸化性を増大させる事が判明した。
  • 山本 淳子, 趙 茜, 小出 あつみ, 山内 知子
    セッションID: 2A-3
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    目的 海岸に多く見られる海藻がアオサであり、近年、大量発生が社会的問題となっている。その解決策として、食材としての利用が注目される。そこで、アオサの有効的な利用拡大を目指し、アオサの成分変化を調べ基礎データとすることを目的とした。緑藻類は、ビタミンC(VC)の供給源として重要であり、また、海藻のタンパク質はアミノ酸バランスを整えると考えられている。アミノ酸量は、生育条件により大きく変動することが報告されている。そこで、本研究では、塩濃度を変化させることにより、アオサのVC量およびアミノ酸量の変化を測定した。
    方法 アナアオサを、人口海水、通気培養25℃で、12時間Light、12時間Dark、120μmol/m2/sの光条件下で培養した。人口海水の塩濃度は、1/4倍、1倍、2倍を用いた。成分分析は、VC量をHPLCポストカラム法で定量、VC合成酵素活性の測定、アミノ酸量をアミノ酸分析装置で分析した。また、組織構造を走査電子顕微鏡で観察した。
    結果 塩濃度を変化させると、アオサのVC量、アミノ酸量ともに変化した。特に、アミノ酸量は、塩濃度を高くすると通常の塩濃度のアオサと比べ、プロリンが約47倍高くなった。また、塩濃度を低くすると、ほとんどのアミノ酸量が増加した。これらの変化は、ストレス防御のためと考えられる。そこで、走査電子顕微鏡観察を行った。塩濃度を変化させると、浸透圧によりアオサの細胞が変化し、塩濃度が高いと細胞が萎縮したが、塩濃度が低いと細胞が膨張し、さらに二層構造が剥がれることが観察できた。これらのことから、塩濃度を低くして生育させることで、食品加工用の利用に有効であると考えられた。
  • 米浪 直子, 成宮 博子, 室谷 有紀, 吉野 世美子
    セッションID: 2A-4
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    【目的】マスタードはアリルイソチオシアネートによる抗菌作用を持つことが知られている。本研究ではマスタードドレッシングを調製して水耕栽培野菜に混合し、細菌数について検査した。
    【方法】マスタードドレッシングは、マヨネーズ、フレンチドレッシング、ノンオイルドレッシング、そして二杯酢に市販のマスタードをそれぞれ4%添加して4種類のものを調製した。水耕栽培野菜のモデルとして市販のカイワレ大根およびブロッコリースプラウトを使用した。水洗浄後の試料にマスタード添加または無添加のドレッシングをそれぞれ混合して、0時間(混合直後)、30分、2時間、6時間、24時間30℃で保存し、ペトリフィルム法を用いて一般生菌数および大腸菌群数を測定した。
    【結果】カイワレ大根、ブロッコリースプラウト共に、マスタード添加マヨネーズまたはマスタード添加フレンチドレッシングを混合した条件では、0時間と24時間を比較すると一般生菌数に有意な増加がみられた(p<0.05)。カイワレ大根に、マスタード添加ノンオイルドレッシングを混合した条件では、0時間と24時間を比較すると一般生菌数、大腸菌群数に有意な減少がみられた(p<0.05)。二杯酢については、マスタードの有無にかかわらず、カイワレ大根、ブロッコリースプラウト共に、一般生菌数、大腸菌群数に有意な減少がみられた(p<0.05)。以上のことから、マヨネーズ、フレンチドレッシングにマスタードを添加しても、水耕栽培野菜の細菌数の減少および増殖抑制はみられなかったが、ノンオイルドレッシングを使用した条件では、カイワレ大根においてマスタード添加による抗菌効果が示唆された。
  • 村上 和保, 石黒 理恵, 松原 亜衣子, 大石 真己, 寺西 美香, 中津 沙弥香, 坂本 宏司
    セッションID: 2A-5
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    【目的】凍結含浸法とは、食材を凍結して細胞間隙を広げた後、解凍し、減圧下で食材内部と外部の物質を置換させ、酵素の作用により食材の形状を崩さず軟度を上げる新規技術である。本法は介護食への応用などで大いに注目を集めているが、その調理過程の食品衛生学的評価は殆どなされていないため、今回はこの点を検討した。 【方法】(1)ごぼう、れんこん、人参、里芋、たけのこを原材料として野菜の煮物を5人分調理した。ただし、里芋とたけのこは、ブランチング処理済みのものを用いた。調理は、原材料 →下処理(洗浄、皮むき、カット)→ 下茹で(里芋の芯温が75℃で1分間以上になるように加熱)→ -5℃へ急速凍結 → 真空包装 → 解凍 → 再真空包装 → 2~3℃で48時間の冷蔵保存(酵素処理)→ 加熱(スチームコンベクションオーブンで90℃・10分間)→ 盛り付けの順序で行われた。(2)全ての調理工程において、一般生菌数、大腸菌群数、嫌気性菌数および好気性芽胞形成菌数を測定した。 【結果および考察】原材料から下処理までの各工程における各細菌の検出状況は、過去に報告されたデータと大きな差異はなかった。また、下茹で工程以降は、いずれの細菌項目でも102個/gオーダー以下の低い菌数あるいは不検出のレベルを維持したまま仕上がり品となっていた。一方、真空包装工程以降の食材が真空または低酸素条件になる過程においても、嫌気性菌の増殖は認められなかった。以上から、本法による調理では、特に下茹で工程における加熱が食品衛生管理上、非常に重要であり、この工程の管理が確実なら安全性は十分に確保できるといってよい。
  • 赤石 記子, 森田 幸雄, 古茂田 恵美子, 長尾 慶子
    セッションID: 2A-6
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    【目的】我々はこれまでに、栄養価が高く、小麦アレルギーを起こしにくいと言われているスペルト小麦を用いて、レーズン、米麹、ヨーグルトより得た発酵液を加えたパンを調製してきた。それらはドライイーストを加えたパンに比べて、比容積が小で破断エネルギーが大となり、抗酸化性の向上が観察された。今回は上記発酵液がドウの粘弾性ならびにパンの膨化構造に及ぼす影響について検討すると共に、各発酵液中に存在する微生物の分布状況を調査した。
    【方法】発酵種のレーズン、プレーンヨーグルトには各々一定量の砂糖と滅菌水を加え、米麹には粥と滅菌水を加え、それぞれを密封瓶にて、30℃、65%RHで72h発酵させて発酵液を調製した。それら発酵液とスペルト小麦粉、砂糖、塩を混合し、ストレート法と中種法でドウを調製し、一次発酵を行った。その後、成型し二次発酵させたドウの動的粘弾性を測定した。次いでスチームコンベクションオーブン(180℃、スチーム80% 3min→0% 5min)にて焼成したパンの走査型電子顕微鏡観察を行った。発酵液は一般生菌数等を算出後、標準寒天培地上の発育集落を同定した。
    【結果】動的粘弾性試験より、ヨーグルト及びレーズン発酵液添加ドウのtanδ(=G”/G’)はストレート法よりも中種法で高くなり、米麹発酵液添加ドウでは両法共にtanδが大で弾性要素よりも粘性要素が強く表れていた。各焼成パンの走査型電子顕微鏡写真より画像解析ソフトを用いて気泡径を求めたところ、米麹発酵液添加パンの気泡径は他よりも小さいものが多く存在した。いずれの発酵液中にもSaccharomyces cerevisiaeが多く存在していた。
  • 小城 勝相
    セッションID: 2B-1
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    【目的】プロポリスは,抗炎症作用,抗酸化作用,抗ガン作用等が報告されている。以前,我々はラットにおける抗酸化作用を報告したが本研究では脂質代謝への影響を検討した。
    【方法】4週齢Wistar系雄ラットを3群に分け,CO(対照)群には高脂肪食(20%ラード食),Low(Low propolis)群には対照食に0.05%プロポリスを添加,High(High propolis)群には0.5%プロポリスを添加した食餌を与え,8週間飼育した。白色脂肪重量,血漿脂質,肝臓脂質,脂質代謝に関わるタンパク質の発現をWestern blottingで測定した。
    【結果と考察】体重は3群間で差はなかった。白色脂肪重量はHigh群で有意に減少した。脂肪組織のPPARγのタンパク質量はHigh群で有意に低かった。また,High群では血漿と肝臓のコレステロール,中性脂肪(TG)も有意に低かった。肝臓のPPARαのタンパク質量はHigh群で有意に高く,SREBP-1,HMG-CoAレダクターゼのタンパク質量は,High群で有意に低い結果が得られた。次にTGの吸収阻害作用を検討するため,6週齢雄ラットにそれぞれの1日量のプロポリスを投与し,30分後にオリーブ油を投与して,2,4,6,8時間後に尾採血を行い,血清TGを測定した。その結果,High,Low群ともにCO群と比較して有意な血清TGの減少が見られた。以上よりプロポリスの作用には,脂質代謝に関わる遺伝子やTGの吸収阻害が関与していることが示唆された。
     本研究は奈良女大の市 育代,堀 晴香,高島夕佳,足達乃理子,片岡亮子,山田養蜂場の橋本健二との共同研究である。
  • 勝川 路子, 中田 理恵子, 井上 裕康
    セッションID: 2B-2
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    目的 食による生活習慣病予防を目指して、我々はプロスタグランジン産生の律速酵素COX-2の発現抑制と核内受容体PPAR活性化を指標にした食品機能性成分の研究を続けている。これまでに赤ワインに含まれるポリフェノール・レスベラトロールのin vivoにおけるPPARα活性化を介した作用機構について報告してきた(昨年度本学会)。また、種々の精油成分について機能性評価を行い、タイム精油からカルバクロールを同定した(1, 2)。昨年度の本学会ではバラ精油について報告したが、本年度はレモングラス精油について報告する。方法 COX-2 発現抑制はCOX-2 レポーターベクターと PPARγ発現ベクターをウシ血管内皮細胞に共導入後,レモングラス精油成分を添加し,LPS刺激による COX-2 発現誘導に対する抑制効果を測定した.PPAR の選択的アゴニスト活性はPPRE レポーターベクターと各 PPAR 発現ベクターを共導入し,レモングラス精油成分添加による PPAR 活性化を測定した.また,マクロファージ様に分化させたU937細胞を用いて、COX-2 の mRNA レベルおよびタンパク質レベルでの抑制効果を測定した.結果 レモングラス精油の主成分がPPARα及びγのデュアルアゴニスト活性を持ち,PPARγに依存した COX-2 発現抑制効果をもつことが見いだした.さらに,この成分はカルバクロールとは異なり, COX-2 mRNAの不安定化にも寄与することを見いだした. (1) 堀田真理子他 日本家政学会誌 59, 373-378 (2008) (2) Hotta M, et al. J Lipid Res. 51, 132-139 (2010)
  • 稗 万美子, 塚本 幾代
    セッションID: 2B-3
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    【目的】必須栄養素である亜鉛(Zn)の欠乏が破骨細胞形成過程に及ぼす影響を検討した。
    【方法】Wistar系ラット(5週齢 雌)を3群に分け,Zn添加飼料(Control群),Zn欠乏飼料(ZD群),ZD群と同量のZn添加飼料(PF群)で3週間飼育した。飼育後に血液,肝臓,大腿骨を採取し,血清中,肝臓中及び骨中のZn濃度,血清中のオステオカルシン濃度(OC),遠位大腿骨中のアルカリホスファターゼ(ALP)活性,酒石酸耐性酸ホスファターゼ(TRAP)活性,カテプシンK(CK)活性,カルシウム(Ca)量,ヒドロキシプロリン(Hyp)量を測定した。遠位大腿骨からRNAを抽出し,RT-PCR 法により,M-CSF,その受容体c-Fms,破骨細胞分化因子RANKL,その受容体RANK,デコイ受容体OPG,転写因子c-Jun及びc-FosのmRNAレベルを測定した。
    【結果及び考察】ZD群の体重は,Control群の約75%,PF群の約90%に有意に減少した。大腿骨の重量はPF群でControl群の約90%に,ZD群ではさらにPF群の約90 %に有意に減少した。血清中,肝臓中及び骨中のZn濃度は,いずれもControl群とPF群で差異は見られなかったが,ZD群において有意に減少した。血清OC濃度,骨中ALP活性,TRAP活性,CK活性,Ca量,Hyp量も,PF群ではControl群との有意な差は見られなかったが,ZD群において有意に減少した。以上の結果より,Zn欠乏時には,骨形成活性だけでなく骨吸収活性も減少することが示された。そこで,Zn欠乏が破骨細胞形成に及ぼす影響を調べた結果,M-CSF,c-Fms,RANKL,OPGのmRNAレベルは、PF群,ZD群ともにControl群との差異は見られなかった。RANK,c-Jun,c-FosのmRNAレベルはControl群とPF群で差異は見られなかったが,ZD群においてControl群の約40%に有意に減少した。即ち,Zn欠乏時において,RANKLではなく,その受容体であるRANKの発現が減少し,破骨細胞形成が抑制されることが示唆された。
  • 木村 安美, 吉田 大悟
    セッションID: 2B-4
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    【目的】女性の体重への関心は高く、平成20年国民健康・栄養調査結果では体重を減らすためにお菓子や甘い飲み物の量を調整している者の割合は47.5%におよぶ。若年女性のやせの問題が浮上する一方、日常生活において菓子類を食事代わりとしている状況が指摘されている。本研究は、女子学生の菓子類および食物・栄養摂取全般を把握し、身体状況や生活習慣要因との関連を検討することを目的とした。
    【方法】対象者は福岡県内の大学、短大、専門学校に通う女子学生410名(19.6±1.7歳)である。2008年4月~2009年10月に自記式による生活習慣調査、食物摂取頻度調査を行った。菓子類摂取は7種類の菓子に対して摂取頻度と目安量を質問し、栄養価を計算した。年齢、居住形態、総エネルギー摂取量、飲酒および喫煙を交絡要因として調整し、多重ロジスティック回帰分析により菓子類摂取と身体状況とのオッズ比を算出した。
    【結果】総エネルギー摂取量に占める菓子類からの平均エネルギー摂取量の割合は11.2%であった。摂取エネルギーの高い菓子の種類はチョコレート、アイスクリーム、スナック菓子の順であった。菓子類からのエネルギー摂取量と、総脂質および総エネルギー摂取量とのスピアマンの順位相関係数はそれぞれr=0.52(P<0.001)、r=0.47(P<0.001)であった。菓子類の摂取は、アルバイトあり、インスタント食品の摂取と正の関連性を示した。一方で肥満、やせ、生活満足度、ストレス、朝食欠食との関連はみられなかった。以上の結果より、女子学生では菓子類摂取によるエネルギー摂取割合は比較的多いが、肥満、やせとの関連はない事が示唆された。
  • 篠崎 圭子
    セッションID: 2B-5
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    目的:神経管閉鎖障害(NTD)は妊娠可能年齢にある女性の積極的な葉酸摂取によりその発症が抑制されることが諸外国で多く報告されている。本研究では、1.若年女性を対象にNTDと葉酸に関する認知率を把握すること、2.葉酸摂取量および赤血球葉酸値、血漿葉酸値を測定し、その実態を把握すること、3.血液中葉酸値が低値を示した被験者に対して14日間葉酸を摂取してもらい、血液中葉酸値の推移を調査することを目的とした。
    方法:1.女子学生67名を対象に葉酸とNTDに関する独自のアンケート調査を行った。2. 1.の学生のうち38名を対象に食事調査を行い、赤血球葉酸値および血漿葉酸値の測定を行った。3. 2.で血液中葉酸値が低値を示した3人に対し、葉酸200μg含有食品を1日2個、14日間摂取してもらった。
    結果:アンケート調査で、NTDという病気を知っていた人は19人(28.4%)であった。食事中葉酸摂取量は299.4±142.7μg/日、赤血球中葉酸値は631.8±145.7nmol/L、血漿葉酸値は14.1±5.3nmol/Lであった。また、葉酸摂取量と赤血球葉酸値には有意な正の相関がみられた(r=0.368, p=0.023)。血液中葉酸値が低値を示した被験者の葉酸摂取前後の赤血球葉酸値の増加率はそれぞれ18.6%、58.6%、59.1%、血漿葉酸値の増加率は67.6%、169.6%、193.5%であった。
    結論:若年女性のNTDの認知率は低く、赤血球葉酸値、血漿葉酸値も低値を示した。血液中葉酸値が低値を示した人の14日間の葉酸負荷では、赤血球葉酸値は血漿葉酸値と比較して増加率の上昇が低く、また個人によって血液中葉酸値の増加率が大きく異なる事が示唆された。
  • 吉田 仁美, 北岸 靖子, 西村 友里, 松田 覚
    セッションID: 2C-1
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    目的 多数の香辛料には食欲を増進させる働きがあると古くから言われているが、そのメカニズムは明らかになっていない。一方、ヒトの摂食を調節するホルモンには様々なものがあり、Ghrelin(グレリン)は、比較的最近に発見された胃細胞から分泌される摂食ホルモンである。Ghrelinは胃以外で、リンパ球や単球などの白血球細胞からも分泌され得ることが報告されている。これらをふまえ、リンパ球や単球細胞内でのGhrelinの遺伝子発現が、香辛料による細胞刺激により、どのように変化するのかを検討した。
    方法 ヒトB細胞のDaudiおよびヒト単球細胞のU937を、種々の香辛料エタノール抽出液で刺激した。香辛料としては、ガーリック、レッドペパー、シナモンパウダー、パクチー、ターメリック、バジル、ブラックペパー、ガラムマサラ、オレガノ、パセリ、ナツメグ、月桂樹の葉などを用いた。24時間後に培養液よりRNAを回収し、RT-PCRによりcDNAを作製し、Ghrelinをターゲットとするprimerを用いたPCRで遺伝子を増幅した。電気泳動でバンドの濃度をコントロールサンプルと比較し、Ghrelinの遺伝子発現の変化を検討した。また、泳動バンドを切り出してシーケンス解析を行った。
    結果 レッドペパー抽出液を添加したDaudi細胞において、Ghrelinの遺伝子発現上昇が認められた。また、シーケンス解析の結果、ガーリック、レッドペパー抽出液を添加したU937細胞においては、precursor Ghrelin遺伝子の発現も上昇していた。
  • 逵 牧子, 寺本 忠司, 守山 隆敏, 横井川 久己男
    セッションID: 2C-2
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    (目的)食品衛生法に基づく「乳及び乳製品の成分規格に関する省令」で定められた乳酸菌の公定培地は、BCP加プレートカウント寒天培地(BCPM)である。しかし、栄養要求性の高い乳酸菌は生育が遅く、すべての乳酸菌の生育に適しているわけではない。また、MRS寒天培地(MRSM)は培地成分が豊富であり、ほとんどの乳酸菌の生育に適しているため欧米諸国では広く使用されている。一方、簡易検査キットは操作に熟練を必要とせず簡便であることから、一般細菌用、大腸菌群用、黄色ブドウ球菌用等の種々な製品が市販されているが、乳酸菌用の簡易生菌数測定キットは開発されていない。本研究では、乳酸菌の生菌数測定を、3種類の培地(BCPM、MRSM、一般細菌生菌数測定用キット)で比較検討した。
    (実験材料と方法)BCPMは日水製薬、MRSMはオキソイド、ペトリフイルムACプレート(PFACP)はスリーエムヘルスケアの製品を使用した。乳酸菌は、Lactobacillus plantarum NBRC15891, Lactobacillus casei NBRC15883, Lactobacillus animalis NBRC15882の3株を使用した。培養は35℃で48時間又は72時間行った、なお、PFACPのみ嫌気培養を行った。
    (結果と考察)3株の乳酸菌の生菌数は、いずれの培地を用いても有意差は見られなかった。そこで、市販の乳酸菌飲料24例と発酵乳6例、及び乳酸菌の存在が予想される漬け物39例と食肉13例を用いて、生菌数測定を行った。その結果、3種類の培地いずれを用いても、ほぼ同様の結果が得られた。従って、乳酸菌生菌数測定において、BCPM、MRSM、及びPFACPは実際上、有意差はないと考えられた。
  • 水野 時子, 善方 美千子, 山田 幸二
    セッションID: 2C-3
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    目的 演者らは先に、会津地方の伝統野菜である「アザキ大根」は、市販の青首大根や赤筋大根に比べ血圧上昇抑制作用や精神安定作用等を有する γ-アミノ酪酸を高含有していることを報告した。そこで、アザキ大根の機能特性を明らかにすることを目的とし、機能性アミノ酸である γ-アミノ酪酸について検討した。
    方法 実験に用いたアザキ大根は、会津地方のA地区、B地区、C地区の生産農家より入手した。一般成分は常法により、遊離アミノ酸は75%エタノールを用いて還流抽出(80℃、20分)を行い日立L-8800型高速アミノ酸自動分析計の生体液分析法で分析した。
    結果 アザキ大根の主要な遊離アミノ酸は、収穫地、収穫年、自生と栽培の別に関わりなくグルタミン、アルギニン、 γ-アミノ酪酸であった。また、アザキ大根葉の主要な遊離アミノ酸もグルタミン、 γ-アミノ酪酸であった。A地区産アザキ大根の γ-アミノ酪酸含量は生鮮品100g当たり、平成17年度産では70.3mgに対し平成21年度産では86.7mg、自生では77.9mgに対し栽培では62.1mgであった。さらにA地区産は70.3mgに対しB地区産では66.7mg、C地区産では109.8mgであった。アザキ大根に0.1%グルタミン酸溶液を添加し γ-アミノ酪酸生成酵素活性を検討した結果、放置温度20℃、40℃、60℃ともグルタミン酸と γ-アミノ酪酸含量に大きな変動は見られなかった。アザキ大根、青首大根とも千切りにした大根を湯通し(ブランチング)することにより、乾物換算でのグルタミン酸含量は増加し γ-アミノ酪酸含量は顕著に低下した。製造したアザキ切干大根の γ-アミノ酪酸含量は、青首切干大根に比べ高値であった。
  • 本尾 友紀, 佐藤 香澄, 加藤 みゆき, 大森 正司
    セッションID: 2C-4
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    【目的】愛媛県西条市石鎚地区には、好気的カビ付け発酵と嫌気的バクテリア発酵の2段階発酵を行って製造している後発酵茶があり、石鎚黒茶と呼称されている。この石鎚黒茶には特有の微生物Rhizomucor variabilisが棲息していることが今までの研究で明らかとされ、これがこの後発酵茶の特徴ともなっている。本研究では、この微生物が石鎚黒茶の茶成分にどのような影響を与えているか、in vivo、in vitroにおいて検討し明らかにすることを目的とした。
    【方法】試料は2006年8月に石鎚黒茶のカビ付け工程で採取、分離・同定したRhizomucor variabilisを用いた。(1)in vivoでは、PD培地と緑茶の混合液に微生物懸濁液を接種し、25℃で28日間培養を行った。経時的にアミノ酸、カテキン類等の成分をHPLCで分析した。(2)in vitroでは、PD培地、緑茶、微生物懸濁液の混合液を37℃で経時的に保温した後、アミノ酸、カテキン類等の成分をHPLCで分析した。(3)(1)、(2)についてSPME法により香気成分を分析した。
    【結果】(1)in vivoにおいて増加したアミノ酸はバリン等、減少したアミノ酸はアスパラギン酸、グルタミン酸、テアニン、γ-アミノ酪酸であった。(2)in vitroにおいて増加したアミノ酸はグルタミン酸、減少したアミノ酸はアラニンで約半分まで減少した。カテキンはクロマトグラムの早い部分に未知の成分が認められ、PVPP処理によりカテキン由来以外の成分も増加した。(3)香気成分は低沸点部分に、Rhizomucor variabilisによると考えられる成分が新たに認められた。
  • 田尾 早奈英, 田中 伸子
    セッションID: 2C-5
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    【目的】スフィンゴ糖脂質の一種であるセラミドは、表皮の角質層に存在する角質細胞間脂質の主要成分であり、肌の水分保持(保湿)機能や外部刺激から肌を保護するバリア機能を持つことで知られている。そして最近では、アトピー性皮膚炎などの乾燥肌や、荒れ肌に効果があるとの期待から、セラミド配合の化粧品や食品に注目が集まっている。一方で、リンゴ果実の搾汁過程において年間約2万tに及ぶ排出量となる搾りかすに、セラミドが豊富に含まれるとの報告がなされ、その有効利用が強く望まれている。そこで本研究では、機能性脂質に関する食品素材研究の一歩として、リンゴ搾汁残渣に含まれるセラミドの化学的特徴について検討を加えた。
    【方法】リンゴ可食部を擦りおろし、果汁を搾り取ったその搾りかすを実験試料に供した。実験方法はこれまでに当研究室で行っている魚類の糖脂質分析と同様の方法を用いた。すなわち、Bligh&Dyer法で粗糖脂質の抽出および溶媒分画を行い、その後グリセロ脂質を除去するために弱アルカリ処理を行った。得られた粗スフィンゴ糖脂質は、高分離能薄層クロマトグラフィー(HPTLC)上で確認しながら、IB吸着カラムクロマトグラフィーでセラミドの分画精製を行った。構成成分分析はガスクロマトグラフィーを用いた。
    【結果】溶媒分画後のHPTLC結果では、下層画分のみセラミドの分布が認められ、混在していたグリセロ脂質は、弱アルカリ処理により除去されていた。リンゴから精製したセラミドは、HPTLC上ではダブルバンド(上部61.3%、下部38.7%)であり、魚類の脳から精製単離したセラミドとはRf値の異なる分布パターンを示した。
  • 山口 敬子, 大塚 譲
    セッションID: 2C-6
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    【目的】食品の加工・貯蔵・調理の過程において、タンパク質は糖や脂質、あるいはそれらの分解生成物によりアミノ・カルボニル反応を起こし、修飾タンパク質を生じる。これまで、修飾タンパク質の栄養学的研究は数多く行われてきたが、タンパク質の修飾パターンに関する研究はあまり行われていない。そこで、本研究では食品中タンパク質のグルコース結合パターンについて明らかにするため、β-ラクトグロブリン構造中に含まれるペプチド配列LEKFDKALKAを合成し、修飾反応によるグルコース結合部位の同定を検討した。 【方法】合成ペプチドLEKFDKALKAを用い、D-グルコースと共に1:2(質量比)の割合で110℃、12時間、pH6.7の条件下で反応させ、修飾合成ペプチドとした。HPLC、LC/MSおよびProtein Sequencerを用いて分析を行い、グルコースの結合数および結合部位について検討した。 【結果】LC/MSの分析結果により、グルコース修飾合成ペプチド中には、ペプチド1分子あたりグルコースが1分子および2分子によって修飾されたペプチドが存在することが明らかとなった。さらにHPLC分析の結果により、グルコースの結合数および結合部位の異なる複数の修飾ペプチドが生成していることが明らかになった。HPLC分析においてみられた修飾ペプチドの溶出時間の違いと有機基の親水性の側面から、グルコース結合部位を推定することが可能となった。今後は、MS/MSおよびNMRによるグルコース結合部位の同定を検討したい。
  • 藤上 明子, 岡部 和代
    セッションID: 2D-1
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    目的 ブラジャーの整容性は若年女子を対象とした商品展開に重要な意味を持つが,その評価内容は明らかになっていない.そこで本研究では,日本の若年女子が高く評価するブラジャーの整容性について明らかにするとともに,視覚的主観評価と官能評価の相違を検討した.
    方法 補正機能を持つ13種類の3/4カップブラジャーNo.1~No.13を用いた.各試料は,下カップ容積,寸法,土台の伸び率の異なる特性を持っていた.視覚的主観評価は18~24歳の若年女子108名を評価者とし,一対比較法で着用状態の画像を見せ「バストの形がきれい」「整容性がある」について評価させた.官能評価は18~22歳の若年女子19名を被験者とし,13種の試料を着用させ,24項目を5段階評価させた.
    結果 一対比較法の得点に基づき,13種のブラジャーの整容性に順位をつけた.官能評価を分析した結果,整容感(FAC1),肌触り感(FAC2),圧迫感(FAC3),安定とずれ感(FAC4),密着感(FAC5)の因子を抽出した.一対比較法の得点と整容感の因子得点との相関係数は0.715であった.高く評価された試料は,バストに高さがあり,カップの最突出部が真正面を向いている形状であった.カップ部の3次元形状は円錐状であった.視覚的主観評価が高い評価であっても,官能評価は悪い試料があった.視覚的主観評価では一定距離をおいて胸部形状を見るのに対し,官能評価では上方からの目線の評価が加わり,カップ上辺部の密着などの総合的な判断が評価に影響を与えたと考えられた.
  • 平井 千尋, 鳴海 多恵子, 川端 博子
    セッションID: 2D-2
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    (目的)授乳ブラジャーは授乳しやすく締めつけのないことが特徴であるが、デザイン性や機能・衛生面、型崩れなどの面で利用者の満足が得られているかを調査したデータは殆どみられない。本研究では授乳ブラジャーの利用実態と現状を把握し、妊娠期・授乳期の女性が快適な衣生活を送る上での授乳ブラジャーの課題について検討することとした。
    (方法)公立保育園の保護者、保育士を中心とした育児経験者(592名、有効回答数296名)を対象にアンケート調査を行った。調査時期は2009年11月である。
    (結果)授乳ブラジャーは90%以上が利用し、利用開始時期は「妊娠中から」55%、「出産後から」43%であった。形状はハーフトップ型の利用が多かった。授乳ブラジャーの価格帯は2000円台、情報源は「マタニティ雑誌」が最も多かった。購入場所は「店頭」と回答した人の割合が高かったが、購入の際に試着しない人が70%を超えていた。重要視する点は「授乳しやすさ」次いで「素材」「価格」と続いた。おしゃれ性について「おしゃれである」「カラーバリエーションが豊富である」「胸の形を整えてきれいにする」については評価が低かった。機能性について「授乳に便利である」「肌触りがよい」「赤ちゃんに優しい」は高評価であった。「乳首がアウターに響く」ではややあてはまる・あてはまるの回答が約半数あり、特に第1子の育児者にあてはまると回答した割合が高かった。型崩れについて「型崩れが起きやすい」「ダメになるのが早くヨレヨレになる」の回答で50%以上がややそうである・そうであると回答していた。以上の結果から、おしゃれ性と耐久性について課題があると考えられる。
  • 寳達 佑美, 鳴海 多恵子
    セッションID: 2D-3
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    [目的]手指の巧緻性と手縫いの基礎的・基本的な技能(糸通し・玉どめ・玉結び)の習得・定着との関係を明らかにすることを目的とした。[方法]都内の公立小学校2校の5年生207名、6年生215名を対象として糸結びテスト、アンケート調査及び学習実態観察を行った。初めて手縫いを学習する5年生には、学習前に学校生活における手指を使う活動に対する自信やものづくりに対する意欲・関心等について調査し、それらを基礎資料として学習実態観察を行った。学習後には、糸通し・玉どめ・玉結びの習得、得意意識等を調査した。6年生の児童には、糸結びテストと糸通し・玉どめ・玉結びの定着と得意意識等に関する調査を行うと共に、布を用いた製作の学習活動において、糸通し・玉どめ・玉結びの作業実態を観察した。[結果]糸結びテストの成績は平均値が、男女共、5、6年生共に1995年の成績と比べ有意な低下がみられた。5年生は、糸通し・玉どめ・玉結びの得意意識と糸結びテストの成績間に正の相関がみられ、手指の巧緻性との関連が認められた。また、学習実態観察において、糸結びテストの成績の優劣と学習進度とに関係があることが観察され、イチゴに玉どめ・玉結びで種を作る教材等で学習進度を測ったところ、糸結びの成績と玉結び・玉どめの個数に正の相関があることが確認でき、手指の巧緻性は学習進度に影響していることが数値的に確認された。6年生では、5年生で学習した糸通し・玉どめ・玉結びは得意であり、正しい方法を理解していると6割以上が回答したが、学習の実態では教科書で提示されている方法以外の、自分で工夫したやりやすい方法で行っている児童が少なくないことが観察された。
  • 川端 博子, 川満 真樹子, 鳴海 多恵子
    セッションID: 2D-4
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
    会議録・要旨集 フリー
    目的 針と糸を用いたものづくり学習は、手指の巧緻性を向上させうること、継続した取り組みによる満足感と完成の喜びを抱かせることを示してきた。本研究では刺し子の授業観察から縫製技能を把握するとともに、質問紙調査をもとにものづくり学習に対する意識と手指の巧緻性をとらえた。相互の関係性をふまえて指導のあり方について考察することを目的とする。
    方法 世田谷区立の中学校2年生151名を対象に、2009年6~7月に授業を観察し、刺し子の進度と手つき、感想を分析した。提出された作品を目視と縫い目の座標から縫い取りの正確さを評価した。12月に質問紙調査と糸結びテストを行った。質問項目は、属性、自己効力感、針と糸を使ったものづくりへの意識、刺し子学習への取り組み、手先の器用さ・ものごとへの取り組みの自己評価などである。質問紙に記入後、5分間の糸結びテストを行い手指の巧緻性を計測した。
    結果と考察 授業観察より生徒の8割以上が学習を楽しい・やや楽しいと回答した。進度と手つきは女子が優位であるが、男女ともに個人差が大きかった。質問紙調査より、針と糸を使ったものづくりへの意識、刺し子学習には女子のほうで肯定的回答であるが、男女とも完成時に達成感を抱いていた。自己効力感に男女差はなく、自己効力感の高い者はものづくり学習全般に前向きに取り組み、達成感を得ていた。糸結びテストの成績は平均11.2個(男子9.8、女子13.5)であり、手指の巧緻性は刺し子の進度・目視評価・手つきと関連がみられた。一方で手指の巧緻性と手先の器用さの自己評価が一致しない生徒が少なからず存在していた。自己効力感とのかかわりを含め、生徒の意識と技能に応じた指導の要点をまとめた。
  • 佐藤 愛, 芝木 美沙子, 川邊 淳子
    セッションID: 2D-5
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
    会議録・要旨集 フリー
    〈B〉目的〈/B〉 衣生活では食生活に比べ、学校教育を離れると手作りをする機会や場が減ってしまうという現状がある。また、核家族化が進みライフスタイルが多様化する中、妊婦が出産・子育てへの不安を抱えたまま、多忙な生活でお腹の中の赤ちゃんへの愛情をゆっくりと醸成させることができない状況にあるのではないかと考えられる。そこで本研究では、子育て支援の新たな取り組みを考える上で、妊婦のものづくり体験についての意識と実態を明らかにすることを目的とした。〈BR〉〈B〉方法〈/B〉 調査対象は、北海道A市の産科婦人科病院に通院する妊婦、および子育て支援事業の親学入門講座に参加する妊婦合計615名、調査方法は留置法による質問紙調査、調査時期は2009年6月下旬~8月上旬で、有効回答数は491名(79.8%)であった。調査内容は、裁縫技能の習得状況および方法、赤ちゃんに関する小物の製作経験および意欲、衣生活に関するものづくりの実態、子育て観などであった。。〈BR〉〈B〉結果〈/B〉 妊婦の63.7%から、生まれてくる子どものために衣生活に関するものづくりをしてあげたいという回答が得られた。その理由としては、「あたたかみ・愛情が感じられる」(16.3%)が一番多く、次に、「作ってあげたい・身につけさせてあげたい」等が続いた。一方、実際赤ちゃんに関する小物の製作経験をもつ妊婦は26.7%にとどまった。また、衣生活におけるものづくりをしない妊婦は70.9%にものぼり、「時間がない・忙しい」(29.9%)などの物理的要因とともに、「苦手・不得意」(21.8%)といった技能的な要因が多くあげられた。さらに、技能習得状況として、家庭科男女共修世代か否かの29歳を境に、ある一定の特徴が認められた。
  • 山本 高美, 藤代 一成, 赤坂 瑠以, 坂元 章
    セッションID: 2D-6
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
    会議録・要旨集 フリー
    〈B〉目的〈/ B〉アパレル業界のICT化として,次世代大学教育におけるアパレルCAD eラーニングシステム(以下本システムと略称)を開発した.これまでに,CAD教育カリキュラム,授業用テキスト,教育用自動作図機能を開発してきたが,本システムではこれらでは伝えることが難しい内容を,ムービーなどのコンテンツにより可能とする.本システムは様々な使用方法ができ,CAD教育の裾野を広げる役割を果たしうるものと考える.〈BR〉 〈B〉方法〈/B〉基本となるCADのソフトウェアは,東レACS株式会社のCREACOMPOを使用する.本システムは,(1)アパレルCADの主な機能であるパターンメーキング,実物パターンの入力・トレース,グレーディング,マーキングの教育内容を網羅,(2)CADの基礎的な線の引き方等はリアルに体験学習が可能,(3)自動作図機能を用いてパターンメーキングを効率的に教育,を特長とする.現在,Webpage http://www.a-cad.net/,Apparel CAD e-Learningのバーをクリックしパスワードを入力することで使用できる.〈BR〉 〈B〉結果〈/B〉これまで部分的に行ってきたユーザ評価では,CADやその操作に関する知識と技能を伸ばすことが分かり,CAD教育における有用性が示された.本システムを用いることにより,次世代パターンメーキング教育に活かせるものと考える.現在,本システムのすべてを使用したユーザ評価を行っている.また,今後はCADの授業,共通教養科目の一部で使用する予定である.完成にあたり,開発者としてまだ内容を濃くしたい部分もあるが,より広範なユーザからのフィードバックを募り,改善計画に役立てたい.〈BR〉
  • 大矢 勝, 大島 紀子
    セッションID: 2E-1
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】6種の汚れの洗浄力、オオミジンコの急性毒性、製造にかかわるエネルギー・資源消費の3点から洗剤を評価する手法について検討した。 【方法】汚れには親水性固体汚れ(酸化鉄(III))、疎水性固体汚れ(カーボンブラック)、蒸熱処理たん白質汚れ(ヘモグロビン)、強極性油性汚れ(脂肪酸)、中極性油性汚れ(トリグリセリド)、無極性油性汚れ(パラフィン系炭化水素)を用いた。洗浄性評価はクベルカムンク式を用いて表面反射率から求めたK/S値から算出した。 【結果】K/S値から求めた洗浄率と汚れの質量単位の洗浄率は、固体汚れと極性油性汚れ、中極性油性汚れでは、ほぼ比例関係が得られた。たん白質汚れでは表面反射率から求めた洗浄率が汚れの質量単位(銅-Folin法で呈色定量)よりも高い洗浄率を示したが、基本的には反射率から求めた洗浄率から質量単位の洗浄率に換算できる。異なるモデル洗剤、および市販洗剤を対象に洗浄性の評価、水生生物毒性の評価、およびLCI分析を行った結果、汚れの種類によって洗浄力の優劣が幅広く変化することが分かった。また石けん系とそれ以外の洗剤類で、水の硬度によって水生生物毒性が大きく変化することが分かった。また、LCI分析では石けん系洗浄剤が他の洗浄剤に比してかなり不利になることが分かった。よって、水の硬度と対象とする汚れの種類によって適する洗剤が大きく変化することが明らかとなった。特に汚れの変化については、疎水性粒子汚れや脂肪酸は界面活性剤の濃度に大きく左右され、親水性固体汚れやたん白質汚れは液性がアルカリ側に偏ると洗浄力が高まる。
  • -オレイン酸の乳化-
    長山 芳子, 深田 祐子
    セッションID: 2E-2
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】人にも環境にもやさしい台所や住まいの洗浄剤として、重曹が普及し始めている。被服および繊維製品では重曹使用によるしみ抜きや部分洗いの効果が謳われている。著者らは人工汚染布を用い重曹の洗浄力が高いことを報告したが、濃度や温度の効果については不明な点が多い。そこで本研究では、油汚れに対する重曹の洗浄力について、オレイン酸の乳化作用の面から検討することとした。
    【方法】洗浄剤として重曹(炭酸水素ナトリウム、試薬特級)、石けんとしてオレイン酸ナトリウム(試薬特級)、モデル油汚れとしてオレイン酸(試薬1級)をそのまま使用した。濃度は重曹0~950mM、オレイン酸ナトリウム1.25~5.0mMとし、単独及び混合して用いた。乳化方法は、重曹水溶液20mLとオレイン酸0.1mLを共栓遠沈管に入れ、恒温振とう機(大洋科学工業株式会社M-300) で、往復120rpm、温度20~40℃、時間10min~24hr振とうした。振とう後の水溶液は分光光度計(日本分光V-660DS)でスペクトルを確認後、500nmにおける吸光度を測定し、この値を乳化値とした。pHおよび表面張力(輪環法)も測定した。
    【結果】重曹-オレイン酸水溶液は、振とうの短時間側では吸光度0に近く、オレイン酸は水溶液上面に油滴状態で浮遊しており乳化されていなかった。振とう時間の経過とともに吸光度は段階的に上昇し乳化が確認された。振とう3hr後ではいずれの温度も重曹濃度5mMの低濃度から乳化が生じた。振とう後の乳化水溶液を撹拌したところ起泡性が確認された。重曹のみの水溶液では表面張力の低下はわずかであるが、重曹-オレイン酸水溶液では重曹低濃度から表面張力は著しく低下しており、重曹石けんの生成が示唆された。
  • 田川 由美子, 後藤 景子
    セッションID: 2E-3
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    目的 汚れの洗浄性を評価する場合,洗浄基質および汚れ物質の種類や形態,要求される清浄度などに応じて適切な方法が考案されている.通常,洗浄基質表面を目視判定する方法や表面反射率やぬれ性を測定して洗浄性を評価する方法が用いられているが,洗浄現象を正確に捉えるには、基質に付着した汚れ量を調べる必要がある.本研究では,汚れ除去の機械力に超音波を利用し,高分子表面からの固体粒子汚れの洗浄現象を画像解析により調べ,洗浄性評価法の妥当性について検証した.
    方法 洗浄基質にはポリエチレンテレフタレートフィルム(PET, 厚さ38 μm,50 mm×10 mm),固体粒子汚れにはカーボンブラック粒子(CB, 平均粒径270nm)を用いた.洗浄実験に先立って,PETフィルムにCB粒子を水分散液中から付着させた.超音波洗浄機には,洗浄ムラの少ない周波数変調式(36±0.5 kHz)の出力可変型装置を使用した.PETフィルムはガラス製洗浄容器に入れた洗浄液 (45 ml)に垂直に浸漬し,音圧計で出力を監視しながら20分間超音波洗浄した.
    結果 洗浄容器の設置位置およびPETフィルムの観察部位は,音圧計とアルミ箔を用いて洗浄槽内および洗浄容器内のキャビテーションの発生の分布を調べて決定した.PETフィルムは,下端より10 mmの位置にある5視野を光学顕微鏡に取り付けたデジタルカメラで撮影した.画像の二値化処理により付着粒子数および付着粒子面積を調べたところ,粒子数は画像解像度に依存することがわかった.そこで,肉眼で計数した粒子数と対応のよい解像度で粒子面積を計測し,洗浄率の算出に用いた.その結果,超音波出力が大きくなると洗浄率が増大し,洗浄性と機械力のよい対応関係が認められた.
  • 安川 あけみ, 後藤 景子
    セッションID: 2E-4
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
    会議録・要旨集 フリー
    目的 ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、PET)布は、防しわ性、速乾性、ヒートセット性、耐薬品性等に優れているが、疎水性であるため吸水性・吸湿性に乏しく、着用時の帯電、油染みや埃の付着等も問題となる。そこで、乾式処理の一種である大気圧プラズマの照射によるPET布表面の親水化を試み、ぬれ性の変化を調べた。
    方法 試料はPETフィルム(EMBLET SA-188、厚さ0.188mm、ユニチカ(株)社製)およびPET布(JIS試験用添付白布、フィラメント平織物、厚さ0.090mm、日本規格協会)を用いた。大気圧プラズマ照射は、気体源に圧縮空気を使用し、plasma pre-treatment components(plasmatreat GmbH社製(独))を用いて、噴出ノズルの直径20mmで行った。
    結果 処理条件を決定するために、PETフィルムを試料として、ノズルから試料までの距離(D)、試料の移動速度(V)、繰り返し回数(N)を変化させて処理を行った。sessile drop法による水の接触角を測定して、親水化の程度が大きく、照射むらの少ない最適処理条件としてD = 7 mm、V = 0.16 m/s、N = 2回を決定した。XPS測定の結果、処理によりPETの表面酸素濃度が増加することがわかった。PET布も同様に処理し、布から抜いた繊維を用いて、Wilhelmy法により水の前進接触角(θa)ならびに後退接触角(θr)を測定した。処理によりθaは 87°から57°へ、θr は 46°から29°へと減少し、ぬれ性が向上した。θaは時間経過や繊維を水洗することにより大きくなり、疎水性回復が見られたが、θrはほとんど変化がなく、極めて安定であることがわかった。さらに、PET布を用いたバイレック法ならびに滴下法による吸水速度測定でも、処理による吸水性の向上が確認された。
  • 福田 典子
    セッションID: 2E-5
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    【目的】地球規模で、そしてわが国において、エネルギー問題と高齢化問題を解決することが、最重要課題である。家庭生活に関するエネルギー問題では、家電や食料が注目されているが、生活財のすべての有効活用化を目標にすべきであると考える。被服品およびその関連溶剤に関しては、製造・着用・手入れ・廃棄にいたるすべての過程において、有効活用化を進め、その消費の仕方の改善が求められる。繊維製品に付着するしみの汚染性や除去性は、組成や条件により異なる。目立つ生地や目立つ部位に除去しにくいしみが1点付着するだけで、その機能が著しく低下し、廃棄につながる可能性もある。そこで、本研究では、除去性の低い墨汁汚れの拡張ぬれ性に注目し、組成および表面処理の影響について,汚染性軽減を目的に詳細に検討した。【方法】生地は綿、綿・ポリエステル50/50混紡布、ポリエステル布を、墨汁は市販書道用のものをそのまま用いた。各試料にPVA糊処理、高温プレス処理、フッ素系ポリマー処理を一定条件で行った。試料に0.02mlの墨汁滴下後、風乾させ、試料重量を測定し、拡張ぬれ面積を算出した。 【結果】生地3種の組成別に比較をしたところ、墨汁の拡張ぬれ面積は綿・ポリ混紡布>綿>ポリエステル布となった。表面処理方法別に比較したところ、墨汁の拡張ぬれ面積は概ね、PVA糊処理>高温プレス処理>フッ素系ポリマー処理の傾向が得られ、墨汁汚れの拡張ぬれ性においては、生地組成と表面処理の影響を受けることが明らかとなった。
  • エチルメルカプタンに対する消臭性(第2報)
    小原 奈津子, 太田 景子
    セッションID: 2E-6
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
    会議録・要旨集 フリー
    (目的)羊毛繊維はコスト的には高いが優れた性能を有する汎用被服材料である。化学的には、反応性官能基を側鎖に有する種々のアミノ酸残基を含んだタンパク繊維である。本研究では、廃棄あるいは使用済羊毛製品の機能性材料としての再利用を目指して、羊毛の化学特性を生かした化学処理によって消臭性を付与し、羊毛繊維を消臭材料に変換することを試みた。
    (方法) 試料:ニュージーランド産メリノ種羊毛繊維トップ。酸化:0℃の過ギ酸溶液中(浴比1:30)に羊毛繊維を浸漬し、20分間撹拌した。銅の担持:酸化羊毛繊維(16g)を4.2%の水酸化ナトリウム水溶液120mL中で1時間室温で撹拌した後、エチルアルコール中に凝固沈殿させた。沈殿物をエチルアルコールで洗浄し風乾した。得られ(た処理羊毛を11%塩化第二銅二水和物の水溶液200mLに加え室温で48時間振とう後、水洗した。消臭性:処理羊毛(1)を入れた5Lのアルミニウム製のテドラーバッグにエチルメルカプタンを注入し、ガス検知管でエチルメルカプタン濃度を測定した。
    (結果)はじめに羊毛に担持させない状態で、塩化第二銅二水和物(CuCl2と略)、塩化第一銅、酢酸第二銅一水和物および硫酸第二銅五水和物のエチルメルカプタンに対する消臭性を評価したところ、配位子および銅の価数によって消臭性は異なりCuCl2が最も高い消臭性を示すことが明らかとなった。そこで酸化によりスルホン酸基を増加させた羊毛繊維にCuCl2を担持させ、消臭性を測定した結果、初期濃度約70ppmのエチルメルカプタンが4時間後に半減する程度の消臭性を示した。さらにこの処理羊毛に100%の水を含水させると、1時間後にエチルメルカプタンは検知不可となり顕著な消臭性を示した。
  • ~世界の家政学領域における「人材育成」・「社会への発信」方法に関する研究~
    山口 厚子, オン チュイン, コリンズ エマ, 平山 欣孝, 白井 靖敏
    セッションID: 2H-1
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
    会議録・要旨集 フリー
    目的 今、世界の家政学領域においてグローバルな視点をもち家政学の本質を共有しながら共に学びあい国際的に連携して共に働くことのできる新たな人材の育成が必要とされている。本研究では、このような世界の家政学の動向に対応した「人材育成」を担い、かつ、家政学の本質を「社会へ発信」することのできる方法(場所や機会の提供)の一つとして、家政学とICTを活用した国際交流プログラムの開発と実践を行い、その可能性と課題を探った。
    方法 実施時期:平成18~20年度 実施内容:1)家政学とICTを活用した学校・大学レベル双方が関わる多様な形の国際交流プログラム3事例(相手国はシンガポール)、2)国際交流プログラム実践を支援するweb上のプラットホームの作成(Moodle)、3)国際交流プログラムがより効果的なプログラムとして機能するための大学における授業開発、4)大学教育における国際交流プログラムを取り入れた人材育成方法についての考察。
    結果 家政学とICTを活用した国際交流プログラムとそれを支援するweb上のプラットホームが、学校・大学レベルの授業やカリキュラムを開発し、参加した生徒・大学生・教師・大学教員の学びを促すとともに、家政学の本質を社会へ伝える効果的な教育プログラムとなることがわかった。さらに、国内外で求められている教育の発展につながる可能性をもつことが考察された。一方で、日本の生徒や大学生の英語力不足、ICTを活用した教育実施のためのサポート体制の確立の必要性が明らかになった。また、大学教育において育成したい人材像をもとに国際交流プログラムをデザインし組み込むことにより、未来の家政学の発展を担う国際的な人材育成が期待できると考察された。
  • 家政学の新しい専門性に関する基礎的研究の一環として
    小林 陽子
    セッションID: 2H-2
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    [目的]〈BR〉現在国民生活に関する諸問題の多くは、家庭生活および人間生活を主題としてきた家政学において無視できない課題である。これらの解決のためには、個別的な専門性や役割を発揮するだけでは不十分で、生活現象を総合的にみるという家政学の貢献が期待されるところである。しかし現実はそうとは言い難い。その要因のひとつに、家政学が時代認識や問題解決に対応した組織的な連携やネットワークづくりを十分に行ってこなかったことが考えられる。そこで、本研究は、家政系学部から就職者を多数輩出し、近年栄養サポートチームの導入により他職種との組織的な連携・協力を行っている管理栄養士に着目し、連携とネットワークづくりの現状と課題を明らかにすることを目的とし、家政学の社会貢献に必要とされる新しい専門性を明らかにするための基礎的階梯としたい。〈BR〉 [方法]〈BR〉管理栄養士の連携とネットワークづくりの現状と課題を明らかにするために、関東地域で働く管理栄養士12名に半構造化インタビューを行った。〈BR〉 [結果]〈BR〉インタビュー調査より把握できた管理栄養士の連携とネットワークづくりの課題は(1)コミュニケーション能力(2)自己アピール能力(3)他の職種と意見交換ができる十分な知識(4)事業を推進しうるマネージメント能力の4点であった。今後は家政系学部から輩出される他職種を対象に同様の調査を行い、共通課題を析出し、連携に関する家政学の専門性を提案したい。なお本研究は科学研究費補助金若手研究19700563の助成を受けたものである。
  • 東京女子高等師範学校卒業生と家政学専門職に関する研究の一環として
    八幡(谷口) 彩子
    セッションID: 2H-3
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    目的 筆者は、東京女子高等師範学校卒業生と家政学専門職に関する研究の一環として、同校家事科の卒業生である鹿内瑞子氏の旧蔵資料を読み進めている。すでに、昭和20年代における小学校家庭科存置運動以降、昭和31年の小学校学習指導要領改訂までの小学校家庭科に関する教育課程行政について検討した。本研究では、鹿内瑞子氏の家庭科教育講義ノートの分析を通して、小学校家庭科に求められた「専門性」について考察する。
    方法 国立教育政策研究所教育図書館所蔵「鹿内瑞子旧蔵資料」のうち、昭和35年の東京学芸大学における「家庭科教育概説」(前期)、「家庭科教育各論」(後期)の講義用に作成されたと推測される講義ノート(B5版、1冊)を資料とした。
    結果 (1)資料冒頭に添付された授業計画によると、前期の冒頭において、小学校家庭科について、家庭科教育の変遷、家庭生活の本質、小学校家庭科の性格などに触れられている。(2)参考図書として、「学習指導要領家庭科編」(昭和22年)、「小学校における家庭生活指導の手びき」(昭和26年)、「改訂小学校学習指導要領」(昭和33年)、「小学校家庭指導書」などが挙げられている。(3)小学校家庭科の意義としては、昭和31~32年度の教育課程審議会答申を受け、改訂の要点を示した。(4)、家庭科でうけもつ分野をはっきりさせることとし、「衣食住などの生活技能を中心とする」「実践的な学習を中心とする」「家庭生活の理解を深める」「実践的な態度を育成する」ことなどが述べられている。(5)受講生(男子)の「袋縫いの感想」には「実習をする目的」に関する考察が記されている。
  • 李 秀眞
    セッションID: 2H-4
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    [1] 研究の背景および目的:F-GES韓国(ソウル)パネル調査によると、親の年金受給率は父親12.4%、母親7.8%であった。これらの状況からすると、何らかの形で子世代から親世代への支援がなされていることが推察できる。それに加え、親世代から子世代への支援もあることが確認できた。結婚にかかった総費用を100%とした場合、夫側の親からは37%、妻側の親から29%の援助があった。また、出産費用の場合をみると、夫側と妻側の親からの援助があった割合は4割程度であった。先行研究では、世代間の支援を親子間の交換としてとらえる、また、親世代は夫側と妻側を区別しないままの研究が多かったが、上記の実態を踏まえると、既婚者に限定しての世代間支援を考える際には、夫側の親と妻側の親の両方を考慮に含む必要が浮かび上がる。本研究の目的は、世代間経済的・情緒的支援を軸として、日本と韓国における世代間関係の実態を確認したうえで、それらをもとに夫婦関係の特徴を明らかにすることである。[2] データ:本研究に用いるデータは、韓国に関しては、「お茶の水女子大学F-GENS韓国パネル調査」を用いる。本分析では2003年から2007年までの5年分のデータから本人と配偶者の親の属性をはじめ、世代間支援等に関する情報を抽出して活用する。日本に関しては、JGSS-2006のデータを用いるが、本調査は2006年9月に実施され、全国に居住する満20~89歳の男女を対象としている。両国ともに、既婚男女に限定し分析を行う。 [3] 分析結果:第1に、韓国の特徴として、夫側からの子世代から親世代への経済的支援が多く、また、親世代から子世代への経済的支援も夫側に多いことが確認できた。第2に、日本と韓国の共通点として、情緒的支援においては、経済的支援に比べて、子世代から親世代への支援、親世代から子世代へ支援ともに妻側とのやり取りが頻繁になされていることが確認できた。
  • 天野 晴子, 伊藤 純, 粕谷 美砂子, 齊藤 ゆか, 水野谷 武志
    セッションID: 2H-5
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    目的
    アンペイドワーク評価の国際的な動向は、2000年以降、世帯サテライト勘定をめぐる議論と試験的作成に一定の展開がみられる。先進諸国における試算が行われる中で、Eurostatは世帯サテライト勘定の方法論をめぐる検討と提案をまとめている(2003年)。日本では、内閣府総合経済社会研究所による『無償労働の貨幣評価の調査研究』(2009年3月)が発表された。アンペイドワークの評価について、政策との関連の検討不足が指摘(橋本、2009)されており、報告者らは政策との関係性に注目しながら、新たなアンペイドワークの社会的評価の可能性を提起してきた(天野他2004,2008)。
    本報告の目的は、アンペイドワークをめぐる評価と試算の展開を、アンペイドワークにかかわる政策との結びつきに焦点をあてて検討するとともに、これらにおける社会的評価手法の位置づけを明らかにすることである。
    方法
    アンペイドワークの評価をめぐる国内外の動向に関連する出版物、報告書を分析するとともに、報告者らが東京都世田谷区で実施(2005年10月)した「生活時間調査・付帯アンケート調査(アンペイドワークの社会的評価調査票)」データを使用した。
    結果
    1.社会的評価の試算では、アンペイドワークの総合評価点が高い家事労働アイテムは、「育児・教育」「身体介護」「介護に伴う家事」、社会的活動アイテムは「高齢者・障害者への日常的な手助け」「緊急災害支援活動」等であった。
    2.社会的評価と貨幣評価の相違から、政策課題への結びつきが示された。
    3.アンペイドワークの評価を経済・社会政策等と関連づけた議論において、先行研究で示された必要データの段階論に、新たな社会的評価の位置づけを提起した。
  • 成田 美紀, 杉山 智美, 伊藤 あすか, 大渕 修一
    セッションID: 2I-1
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    目的 本研究は、加熱調理機器の特性を生かした調理実践方法を在宅高齢者に教示し、その教育効果を検証した。
    方法 東京都I区在住・75歳以上の地域在宅女性高齢者41名を対象者とした。無作為に二群に分け、隔週で計三回料理教室を開催した。各回、両群共に同一献立で、主食・主菜・副菜の三品を実習した。主菜としてホイル焼き、直火焼き、揚物惣菜の温め直しを、介入群はグリルを使用した実習、対照群はガスコンロや電子レンジを使用した実習を行った。開催前および終了後にアンケート調査を行い、調理意識および行動の変化を調べた。項目は、夕食調理時間、グリル使用状況(頻度、食材、用途)、グリルへの認識(パワー、火力の幅、火力の微調整、調理の簡便さ、調理の多様性、掃除や手入れ)、調理負担感(献立考案、買物、食材下処理、加熱、味付け、盛り付け・配膳、後片付け、ごみ始末、清掃)、揚物惣菜の使用状況(購入頻度、購入物、食べ方)とした。
    結果 介入群で夕食調理時間は有意に短縮された。グリル使用状況は、使用食材の増加(野菜、いも)と温め直しの増加が有意に見られた。グリルへの認識は、火力の幅、調理の簡便さ、調理の多様性に有意な改善が見られた。一方、後片付けの負担については有意に増加した。揚物惣菜の使用状況は、購入物の種類が有意に増加し、そのまま食べる人が減少する一方、グリルによる温め直しが増加する傾向が見られた。介入群で変化があった項目について、対照群では変化が見られなかった。高齢期は、煮る・炒めるなど調理方法が限定しがちであるが、機器特性を理解することで、グリルを使って時間を短縮しつつ、焼く・揚物の温め直しなど多様な食事を整えられることが確認された。
  • -家族主義から家族サポート主義への転換における家政学者の貢献-
    倉元 綾子, 正保 正惠, 山下 いづみ
    セッションID: 2I-2
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    【目的】 今日の日本社会には家族問題が山積している。家政学は個人・家族とその生活に関心を持ち,困難を解決するために支援する使命を担ってきた。米国など,諸外国においては家族問題予防のために家政学を基礎とする「家族生活教育」が展開されている。筆者らは日本における類似システムの確立を模索している。本報告では台湾と韓国の新しい家族支援システム・「家族生活教育」の成立および家政学・家政学者の関与について検討する。
    【方法】 台湾については2009年9月に現地視察・インタビューを行い,韓国については2009年12月,2010年1月にインタビューを実施した。合わせて,関係資料・論文を収集し,調査・分析を行った。
    【結果】 (1)台湾・韓国では家政学を基礎とする家族支援システムとして,台湾では2003年に「家庭教育法」,韓国では2004年に「健康家庭法」が制定された。これらのシステムの中心は家族問題予防のための教育であり,家庭教育センター/健康家庭支援センター,学校,官公庁,企業,NPOなどにおいて,家庭教育資格取得者/健康家庭士やボランティア/家庭奉仕員などによって強力に推進されている。 (2)台湾では,親教育,子ども教育,男女平等,結婚,倫理教育,家庭財源・家族関係教育などが行われている。韓国では家族教育・家族相談・家族文化・家族支援に関わる活動が実施されている。 (3)両法成立の契機は,急速な経済発展,家族形態の多様化,家族問題の激化など,家族と社会の急激な変化であった。同法の成立と推進には家政学・家政学者が重要で大きな貢献をしている。両法は米国NCFRの影響をうけながらも,独自にプログラムされている。
  • 田中 由美子, 横田 明子
    セッションID: 2I-3
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    目的
    近年,わが国では多重債務者が約200~300万人も存在すると推定されており,社会問題化している。この問題解決のため, 貸し手に対する規制として改正貸金業法が 2006年に施行され,借り手に対しては全国の弁護士会等が相談体制の整備や家計管理の指導などを行っている。しかし,金融庁に設置されている多重債務者対策本部が2007年の「多重債務問題改善プログラム」の中で示しているとおり,社会に出る前の高校生段階で,具体的な事例を用いて教育することによって消費者自らの意識を高め,予防することが効果的であると考えられる。
    そこで,本研究では,将来多重債務に陥らないための高等学校家庭科における金銭管理教育とはどのようなものであるかを明らかにすることを目的とした。
    方法
    (1)多重債務を実証的に分析した文献から,その要因を抽出した。(2)諸外国の金銭管理教育の内容を検討した。(3)(1)(2)の結果から多重債務に陥らないために必要な教育内容を明らかにした。(4)(3)に沿った授業案を提示した。(5)授業案に基づいて授業実践を行い,授業前後に生徒の意識,行動,知識について調査し,教育効果を明らかにした。
    結果
    (1)多重債務の要因分析の結果,多重債務者に欠如している主な要因として,知識,消費欲求の抑制,金銭管理能力,情報選択能力,意思表示力の5つが挙げられた。(2)諸外国の金銭管理教育には,信用の構築,税・社会保険と賃金の関係,お金の記録と方法,広告と影響力が含まれており,極めて重要であると判断されたためこれらを授業用教材に取り入れた。(3)(1)(2)を踏まえた授業実践後,生徒の意識,行動,知識それぞれに向上が見られ,多重債務に陥らないことを目的として作成したワークシートおよび授業の教育効果が明らかとなった。
  • 高橋 桂子
    セッションID: 2I-4
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    目的 ワンクリック詐欺、架空請求やねずみ講など、インターネット犯罪に大学生が巻き込まれるケースが多発している。警視庁などでは無視するようよびかけているが、請求されるままに支払うケースもある。その理由として「契約」という法律行為に対する理解不足が推測できる。そこで、大学生を対象に契約に関してどの程度、理解できているか、1コマの講義を履修することでどの程度、改善されるかを明らかにするために二者択一式のテストを実施した。
    方法 調査対象はN大学、J女子大学の受講生のうち、大学で契約やクーリング・オフに関する講義を受けたことがない学生(計156名)である。調査は2009年10月~11月である。
    結果 「契約は口約束で成立する」(○:正答率46%)、「契約が成立するためには双方の押印が必要である」(×:同49%)、「15歳は契約することができない」(×:58%)など、大学生の契約に関する基本的知識の理解度はほぼ5割である。結果として「契約が成立しても、支払い前なら辞められる」(×:58%)、「インターネットの契約は、注文ボタンを押したときではなく事業者からの承諾通知が届いたときに成立する」(○:65%)など実践問題の正答率も低い。講義後のテストでは基本的知識の正答率はほぼ9割と大幅に改善されるものの、実践問題の改善は7-8割に留まった。新学習指導要領では「D 身近な消費生活と環境」という新たな枠組みが立てられた。消費生活は講義だけでなく、ケース・スタディを通して理解を深めることが出来る領域である。ロールプレイなどを積極的に活用しながら、早急に契約に関する正確な知識を学生たちに定着させていく必要がある。
  • ジーンズを例に
    堀内 かおる
    セッションID: 2I-5
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    【目的】今日、経済のグローバル化が進展する中で、私たちの衣生活にもさまざまな影響がもたらされている。例えば代表的な日常着ともいえるジーンズの価格が低落し、800円台を謳った新商品も販売されるようになり、さらにはディスカウントストアがプライベート・ブランド(PB)商品として、690円のジーンズ販売を開始した。しかしこのような低価格の背景には、低賃金で長時間縫製工場で働かざるを得ない状況におかれている開発途上国の若年労働者の実態があり、過酷な労働と引き換えに得られる収入が、彼らおよび彼らの家族の生活を支えているという事実がある。安価でデザイン性に優れ、品質も良好な商品は消費者のニーズに即している。しかし、今日、消費者に求められるのは、グローバル化した社会構造を背景とする市民性(シティズンシップ)である。
     本研究では以上のような問題意識に基づき、家庭科教育における授業計画を立案し、実践を通して学習者の学びを検証することを試みるものである。本報は、その基礎資料を得るために、大学生を対象として実施した意識調査の結果について報告する。
    【方法】教員養成系大学の大学生104名を対象に、ジーンズの着用実態とジーンズの価格・イメージに関する意識調査を実施した。実施時期は2009年11月、授業時に一斉に実施し調査票を回収した。
    【結果及び考察】大学生の1カ月当たりの被服費は約1万円、ジーンズの所有本数は平均3.65本、ジーンズをほぼ毎日着用する者は男子約40%、女子約20%であった。1000円以下の価格のジーンズに対しては「安すぎて不安」と感じるが、3000円台になると適正価格という意識が強かった。購入の際の選択基準としては、サイズ、値段、デザインが上位3位を占め、値段が重要視されていた。「安ければいいのか」という問いを投げかけることを通して、消費経済をとらえ直す新たな視野をもたらす授業の可能性が示唆された。
  • 第1報 本研究の目的と研究概要
    梁瀬 度子, 佐々 尚美, 竹原 広実
    セッションID: 2J-1
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    【目的】日本住宅の伝統的な空間様式である和室は、20世紀中頃より住生活の洋風化につれて急激な減少傾向を辿ってきたが、一方で和室の代表的な構成要素である畳の部屋が住宅から全く消失してしまったことはなく、集合住宅においても一室は畳床の部屋を設ける間取りが圧倒的に多い。これには和室が持つ空間の広がりと開放感、室の様々な機能への転用性があること、又、自然素材の畳がもつソフトで温かみのある感触が日本の起居様式にフィットしている証ではないだろうか。本研究では、現代の住宅における和室の新しい空間構成の特徴や畳生活に対する居住者の意識などを調べると共に、畳の持つ物理的特性が人間の生理、心理(感覚)に与える効果などを実験的に測定し、畳を通してみた日本の生活文化について総合的に検討する。なお今回は、アンケート調査結果について報告する。【方法】アンケート調査により和室の実態、和室及び畳生活に対する居住者の評価、和室への思い入れなど意識を問うた。近畿地区(和歌山を除く)を中心に東北、中部、北陸、東海、山陰、九州の各地域を対象にアンケート用紙を手渡し又は郵送により配布・回収、配布数2,189、回収数1,372、有効回答率は61.8%であった。 【結果】アンケート回答者のプロフィールは女性73%、男性26%、10~30歳代と40~50歳代に約40%、60歳代以上20%、同居家族数は3.6±1.5人であった。いずれの地域も戸建住宅の方が集合住宅より築年数は長く、部屋数、和室数ともに多かった。(本研究は文部科学省・私立大学学術研究高度化推進事業の一環として行われた。)
  • 第2報 和室空間の形態および使用実態
    佐々 尚美, 竹原 広実, 梁瀬 度子
    セッションID: 2J-2
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    【目的】現代住宅における和室空間の形態および使用実態に関して把握することを目的とした。【方法】和室と他室との連続性や板敷の有無などの和室形態や、和室での生活行為、和室の洋風化使用の有無などといった使用実態に関する項目について設問を作成し、アンケート調査を実施した。得られた結果は近畿、東北、中部、北陸、東海、山陰、九州の地域に分け、地域による差異を中心に検討した。【結果】近畿504件、東北173件、中部119件、北陸111件、東海89件、山陰145件、九州162件などであった。和室率と築年数との間に正の相関関係が認められ、築年数が長いほど和室率は高い。また北陸、東北、中部は築年数に対して和室率が高いなど地域差がみられる。和室形態は全体的に「独立した和室」が多く、近畿では70~90%と大半が「独立した和室」をもち、「畳コーナー」は少なく10_%_以下であった。築年数との関連もみられ、「続き間の和室」が[ある]住宅の築年数は平均27.7年、[ない]は15.3年、「畳コーナー」が[ある] 15.3年、[ない]21.3年と、伝統的形態の続き間が減少しているのに対して新しい形態がみられ、この傾向は地域で共通している。「和室と洋室の使用状況」について、近畿は[和室を洋風化して使用]が30%程度、[洋室を和室風に使用]は20%程度であり、他地域は、北陸が[洋風化して使用]が50%程度と高い。「和室の使用用途」は [寝室として]が最も多く、[仏間として] [客間として][居間として]が続く。更に[洗濯物をたたむ][新聞や本を読む]など家事やくつろぎの場として使用され、地域による違いはみられない。
  • 第3報 和室に対する意識
    竹原 広実, 佐々 尚美, 梁瀬 度子
    セッションID: 2J-3
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】居住者の和室に対する意識を把握することを目的とした。【方法】和室に対する思い入れやこだわる点、必要な設備などといった現状の和室の捉え方と、今後の要望など居住者の意識に関する設問を作成しアンケート調査を行った。【結果】「和室が好きかどうか」については[とても好き][まあ好き]が97%、また[和室は落ち着く]が96%と多くの者にとって和室は好きな落ち着く空間である。しかし、その必要性については[和室は絶対必要][必要]は約60%程度に留まり、「和室に対する思い入れの有無」では[思い入れがある]は32%と少ない。「和室に対する思い入れの有無」がどういった要因から構成されているかを知ることが今後の和室のあり方の展望に繋がるのではないかと考え、以下この項目を中心に検討を行った。居住地域については近畿と比較して他の東北、中部、北陸、山陰、東海は「思い入れなし」の割合が多い。「和室の使い方」では有意差が認められ[居間として][ゴロゴロする]など日常的な用途は[思い入れなし]が多く、対して[客間として][季節の行事]など非日常的なハレの空間としての使用で[思い入れあり]が多い。また年齢についても有意差が認められ若年者ほど[思い入れなし]の割合が多く、年齢が高くなるにつれ[思い入れあり]の割合は増え、高齢者層で逆転する。高齢者層は[洋風よりも和風のインテリアを好む]傾向であり、思い入れと現住宅での和室の使い方との関連は薄い。一方、若・中年者層は和室の使い方と思い入れとの間に有意差が認められ、地域差はない。このことから高齢者は彼らが育った住環境への愛着が、若・中年者は現住宅での和室のあり方が思い入れを構成する要因のひとつと考えられ、年齢層によって和室への思い入れを構成する要因が異なる。
  • -個人差について-
    石田 享子, 井上 容子
    セッションID: 2J-4
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】人の目は、視野輝度の変化に応じて、数秒から数十分という比較的短い時間で刻々と感度を変える。この視覚特性のため、視環境においては長期的な順応に関する研究が稀少である。そこで、本研究では長期的な順応として季節を取り上げ、季節の違いが明るさ評価に与える影響を明らかにする。明るさ評価は主観評価であり誤差が大きいため、本報では、季節の影響の検討に先立ち、個人内・個人間誤差についての検討結果を示す。
    【方法】実験では、顔面鉛直面照度0.5~2000 lxまでを段階的に呈示し、これを被験者が評価する。評価項目は「明るさ感(10cmの直線)、まぶしさ感(2段階)、快適感(2段階)、くつろぎ感(4段階)」である。評価室は、反射率が床26%・壁93%、約4.5畳大である。実験変数は、呈示照度(12段階)、色温度(3000K・6700K)、季節(夏・冬)である。被験者は27~31名の女子大学生である。
    【結果】1)個人内誤差:明るさ感、まぶしさ感、快適感は照度により変化する。くつろぎ感は、照度による影響が小さく、両者の関係は個人ごとに明確である。2)個人間誤差:4項目全てにおいて照度により変化する。明るさ感は500 lx以上の高照度、まぶしさ感は50 lx以下の低照度、快適感は20~100 lx、くつろぎ感は5~20 lxで安定した評価が得られる。誤差の指標となる標準偏差の最小値と最大値は、明るさ感(0.2 , 1.2)、まぶしさ感(0 , 0.42)、快適感(0.17 , 0.45)、くつろぎ感(0.5 , 1.1)である。3)明るさ感が飽和する500~2000 lxを除くと、個人内誤差よりも個人間誤差の方が大きい。
  • 視認性への加齢と視力の影響
    池上 陽子, 鈴本 恭子, 井上 容子, 原 直也
    セッションID: 2J-5
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
    会議録・要旨集 フリー
    目的 視環境計画において、安全性の高さは重要であり、視対象物の見えの確保は必須である。本研究は、年齢や視力を考慮した不均一輝度分布視野における視対象物の視認性予測法を確立することを最終目的としている。本報では、単純な輝度分布が呈示できる実験室で、視野近傍から周辺における輝度差弁別閾への年齢と視力の影響を検討する。
    方法 実験では被験者が視野中心に呈示される視標輝度を背景とかろうじて区別することができる境界である輝度差弁別閾に調整する。暗室内において、視野中心に半径5度の均一輝度分布である背景を設け、その中心に半径4'~128'の視標を呈示する。背景の周辺にはグレア源となる高輝度面を離角(視野中心からグレア源までの角度)10~90°の範囲に放射状かつ離散的に配置している。視標の大きさやグレア源の呈示位置により、視野近傍から周辺までの視認性を検討する。被験者は、21~27歳の両眼視力0.1~1.5の若齢者18名と65~72歳の両眼視力0.8~1.2の高齢者5名である。1条件あたり3または5試行実施する。
    結果 視標の大きさを変化させた結果を用いて離角4~128'の視野近傍について検討する。128'の輝度差弁別閾に対する各視標の大きさによる輝度差弁別閾値の変化率には、加齢の影響はない。一方、視力が低いと変化率が高く、離角が小さいほど視力の影響が大きく、視力によって1.5~6倍の変化である。高輝度面を呈示した結果を用いて離角10~90度の視野周辺の時について検討する。高輝度面非呈示に対する呈示の順応輝度増加量の変化率は、高齢者が若齢者より高く加齢の影響がみられ、2~7倍である。視力の影響はない。これら視力と加齢の影響を実際の空間では、どの程度考慮する必要があるのかを明らかにしていく。
  • 奥田 紫乃, 福本 陽子, 岡嶋 克典
    セッションID: 2J-6
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
    会議録・要旨集 フリー
    目的 住生活における調理作業時には、食材の鮮度を確認することが必要不可欠であり、その際には食材表面の色や形状などの視覚的特徴に基づいて判断されると考えられる。本研究では、食材の鮮度を正しく容易に判断できる照明条件を明らかにすることを目的とし、異なる照明条件下において食材の劣化のわかりやすさに関する主観評価実験を行った。
    方法 実験に先立ち実施した食材の色彩調査結果1)より、使用頻度が高く、色・表面性状が異なる6種の野菜(ほうれん草、レタス、じゃがいも、人参、なす、トマト)を視対象として選定した。これらの食材を常温で放置し、劣化の様子を観察した結果に基づいて、レタス・ほうれん草に対しては劣化による色の違いのわかりやすさ、じゃがいも・人参に対しては劣化による凹凸の違いのわかりやすさ、なす・トマトに対しては劣化によるつやの違いのわかりやすさを、4種の光源条件(蛍光灯[3000K]、D65標準光源[5500K]、LED[2800K]、LED[5000K])、及び3種の照度条件(50lx、200lx、800lx)を組み合わせた12条件の下、D65光源下での見えを100としたME法及び6段階の言語評価尺度で評価させた。
    結果 いずれの食材も照度が高いほど劣化の程度がわかりやすく、レタス・ほうれん草は低色温度より高色温度において劣化の程度がわかりやすいことが示された。また、長波長成分を多く含む食材(人参・トマト)は、低色温度の光源において、劣化による凹凸及びつやの程度がわかりにくいことが示された。
    [引用] 1)福本陽子、奥田紫乃:調理作業時の視対象となる食材の色彩調査,平成21年電気関係学会関西支部連合大会講演論文集P-31,2009.11
  • ―気温下降時の選択気温群の特徴―
    安岡 絢子, 久保 博子, 磯田 憲生
    セッションID: 2K-1
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    【目的】
      本研究は好みの気温を選ぶ選択気温実験により高温選択群(以下高温群)と中温選択群(以下中温群)に分類された被験者群の生理、心理量の差を把握することを目的に、環境温が変化する実験室に被験者を滞在させ検討を行った。本報では高温環境から気温が下降する条件下での結果を示す。
    【方法】
      実験は2009/9/4~10/4に掛けて13~16時の時間帯に、健康な青年女性14名(高温・中温各7名)を対象に行った。これらの被験者を気温28℃の前室から気温変化のある実験室に移動させ、33℃40分間一定後、40分掛け25℃まで下降、その後25℃で40分間一定となる環境に暴露させた。相対湿度は50%一定とした。測定項目は環境温(0.1、0.6、1.1、1.6m)、相対湿度、グローブ温及び生理量として皮膚温、直腸温等を連続測定、心理量として温冷感や快適感を5分間隔で評価させた。
    【結果】
      実験終了時に平均皮膚温の群差は見られなかったが、部位間の皮膚温差は中温群の方が大きかった。最も皮膚温が上昇した開始40分目と最も低下した終了時での皮膚温低下度を見ると、下腿後面と手背のみ中温群の方が低下した。また群差が最も大きかったのは腰部皮膚温で高温群の方が1℃多く低下した。温冷感の経時変動では腕、手に比べ足部の方が群差は大きくなったが、気温変化に関わらず大腿の群差はほぼ一定であったものの足背の群差は気温低下が進むにつれ大きくなった。なお気温約29℃の時に同程度の快適感評価が得られたが、最も快適側評価が得られた気温は、高温群31.0℃、中温群28.3℃で各群の選択気温の平均より1℃ほど高くなった。
  • 萬羽 郁子, 五十嵐 由利子, 磯田 憲生
    セッションID: 2K-2
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】開放的でコミュニケーションの取りやすさなどの理由から、一体型の居間-食事室-台所が増加している。一体型の居間や食事室で冷房または暖房を行った場合には、台所の温熱環境にも影響することが考えられることから、住宅の台所の温湿度測定データをもとに台所の温熱環境に関する実態把握を行った。
    【方法】対象住宅の台所〈コンロ近傍,高さ1,200-1,500mm〉に小型温湿度データロガーを設置し、5分間隔で連続測定を行った。全23件の測定データから、夏期8-9月の10件(気象庁測定データより平均外気温25.2℃)、冬期12月の17件(外気温7.7℃)と2月の12件(外気温3.2℃)の各7日間のデータを分析した。
    【結果】夏期測定結果より、台所内の日平均温度は27.7℃で、4件が日本建築学会で提案されている住宅熱環境評価基準値の28℃を超えていた。相対湿度は50~65%だった。夏期は日中の温度上昇も大であったが、ほとんどの住宅で夕食調理時に最高温度となっていた。隣接する居間で同様の測定を行った住宅では、居間における冷房使用がない場合には室温は同程度で、冷房使用がある場合には台所の方が1~2℃高かった。冬期測定結果より、台所内の日平均温度は12月、2月とも20℃程度で基準範囲内に収まっていたが、独立型の台所の場合一体型に比べて5℃程度低かった。冬期は加熱調理時の温度上昇が大であったが、加熱調理がない場合には独立型の台所では15℃以下であった。以上の結果より、夏期には加熱調理中の高温環境が、冬期には独立型の台所の低温環境が調理者の快適性を損なうことが懸念されたが、一体型の台所内では冬期も一定温度が保たれていた。
  • 尾崎 志穂, 梅田 奈々, 磯田 憲生
    セッションID: 2K-3
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    【目的】夏期の快適な室内環境形成に役立つ窓際植生について、日射遮蔽効果と在室者評価に及ぼす影響について把握することを目的とした。【方法】温熱環境実測調査:実測対象室として、窓際屋外側にあさがお及び風船かずら植生を施した部屋を植生教室、上部に位置する同じ形状の部屋を日射遮蔽なしの2階教室とした。温熱環境要素は、気温、黒球温度、相対湿度、外気温湿度を測定した。測定期間は2009年6月~9月であった。被験者実験:両室の窓・扉開放条件を揃え、被験者は各室にて30分間椅子座安静状態を保った。温熱環境を測定し、室内環境評価の申告を受けた。実験期間は8月~9月であった。また、植生教室で14:30~16:10に行われた講義の受講生を対象に室内環境評価の調査を行い、調査用紙は講義終了10分前に配布した。調査期間は4月~7月であった。環境意識アンケート調査:植生教室で行われた講義の受講生を対象に調査を行った。【結果】温熱環境実測調査:植生教室の窓側黒球温度は2階教室より8月の平均で4.0℃低くなった。被験者実験:雰囲気評価では植生教室は2階教室より高く評価され、緑の心理効果が認められた。7月から9月にかけて、雰囲気・総合評価では植生が成長するにつれて評価が高くなり、植生が枯れるにつれて評価が低くなった。天気・雲量が同じ日で比べても同様の結果となることから、植生の成長が評価に影響したと考えられる。また、8/17(快晴)と8/20(曇)で雰囲気評価に違いが見られたことから、天気が評価に影響したと考えられる。環境意識アンケート調査:地球温暖化や省エネに関心がある人は省エネを心がけた生活を送っており、暑熱環境でも不快とは感じず、許容できる傾向が見られた。また、雰囲気・総合評価においても省エネに関心がある人は高い評価となった。
  • 第10報 対象住宅における夏期と冬期の室内温熱環境
    磯田 憲生, 松井 智子, 東 実千代, 久保 博子
    セッションID: 2K-4
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】本研究では、奈良市青山に既存の自然環境を残して計画された住宅地で、残存する自然環境が住環境形成に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。本報では、自然共生型住宅地内の住宅を対象に室内温熱環境実測調査を行い、住宅周囲の自然環境、住構造、住まい方との関係を明らかとした。
    【方法】実測調査は対象住宅地内の木造戸建住宅10戸で行った。測定項目は、室温(h:0.1m,0.6m,1.1m)、グローブ温度(h:0.6m)、床温、外気温(住宅地内百葉箱)、湿度(h:0.6m)とし、小型温湿度データロガーにより、10分間隔で連続測定を行った。測定は2005年7月より5戸の住宅で開始し、2009年8月に新たに5戸の住宅を測定対象に加えた。ここでは、2009年冬期と夏期の結果を中心に報告する。
    【結果】冬期測定結果より、対象住宅の暖房方法は床暖房と薪ストーブだった。居間における暖房時の温熱環境は15~20℃程度で推移する住宅が多く、住宅熱環境評価研究員会による評価基準を満たしていた。非暖房時には住宅の断熱性能による違いが顕著で、断熱性能が高いK邸は15℃以上が保たれていたが、開口部面積が大きく断熱性能が低いY邸は外気環境の影響を強く受けていた。夏期測定結果より、住宅周囲の樹木の量によって日中の室温上昇に違いがみられ、日射遮蔽効果がみとめられた。冷房としてエアコンの使用がある住宅や開口部面積が広く風通しのよい場所に立地している住宅では在室時の室温が評価基準を満たしていた。夏期においては寝室、トイレ、脱衣室においても測定を行ったところ、居間や台所に比べて平均温度は低くほぼ評価基準値を満たしていた。
  • 桂 重樹
    セッションID: 2K-5
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
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    目的 環境意識の高まりや自然エネルギーの活用、二酸化炭素排出削減などを目的として太陽光発電装置の導入が進んでいる。2009年度は国の補助が復活したこともあり設置した住宅が増えている。しかし、一方で業者の説明ほど売電できない、という苦情も寄せられている。そこで、本研究では実際の発電データをもとに設備費が回収できるまでの期間について検討した。
    方法 5.6kWhの発電設備を住宅に設置して発電量、自家消費量、売電量、日照時間、日射量などとの関係を調べた。1枚当たり1.6kWhの出力をもつ多結晶の太陽電池パネルを、屋根面の大きさと方位の制約から、南東面に22枚、南西面に15枚設置した。傾斜角はいずれの面も27度である。測定は2009年12月21日より開始した。
    結果 発電は日照時間が少なくとも、日射があれば行われており、1日当たりの発電量は最大で15.8kWh、最低は0.2kWhであった。ただし、最低の値を記録した日は、前夜からの積雪の影響で太陽光が届かない状態になっていたときであって、積雪の影響がない状態での最低値は3.1kWhであった。 日本の電力買い取り制度は余剰電力買い取り制度である。すなわち、発電量から自家消費量を除いた電力が買い取られるので、売電額を増やすためには発電時間帯の使用電力量を少なくすることがカギになる。測定期間内の自家消費量の平均値は約2.1kWhで、売電額は50日間で約18000円に達した。
    この発電設備を設置した住宅は床面積84_m2_の平屋で成人が3名生活している。熱源はすべて電気でまかなわれており、日中も在宅している。12月から2月にかけての太陽光発電の時期としては日照時間も短く不利な時期にこれだけの売電ができることが分かったので、比較的短い期間で設備費が回収できる可能性があることが分かった。
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