一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
62回大会(2010年)
セッションID: 3P-32
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カルノソールの血管新生抑制作用
*萱島 知子松原 主典
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抄録

【目的】血管新生は,がんや糖尿病性網膜症,肥満,認知症をはじめとする様々な疾病と関連している。食品由来の血管新生抑制物質は,これらの疾病を予防する機能性成分としての可能性を有することから注目されている。ハーブの一種であるローズマリーに含まれるカルノソールとカルノシン酸は強力な抗酸化作用を示す主要成分として知られている。我々はカルノシン酸に強い血管新生抑制作用を見出したことから,カルノソールについても血管新生への影響を検討した。
【方法】血管新生抑制作用については, ラット動脈片をコラーゲンゲル中で培養するex vivo血管新生モデルにて評価した。またヒト臍帯静脈由来血管内皮細胞(HUVEC)を用いたin vitro血管新生モデルにて,血管内皮細胞の遊走・増殖・血管様構造形成への影響を検討した。
【結果】カルノソールはex vivo血管新生モデルにおいて,ラット動脈片からの微小血管形成を5 μM以上の濃度で有意に抑制し,100 μMでは完全に抑制した。カルノソールの作用についてin vitro血管新生モデルで検討したところ, HUVECの細胞増殖と血管様構造形成に対して抑制効果を示したが,細胞遊走への有意な効果は認められなかった。これらの結果は,カルノシン酸が細胞遊走・増殖・血管様構造形成に対して有意な抑制効果を示すこととは異なっていた。以上より,カルノソールもカルノシン酸と同様に血管新生抑制作用を有することが明らかになった。しかし,カルノソールはカルノシン酸とは異なる作用機構で血管新生抑制を示す可能性が示唆された。

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