一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
62回大会(2010年)
セッションID: 2E-4
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ポリエステル布のぬれ性におよぼす大気圧プラズマ照射の影響
*安川 あけみ後藤 景子
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抄録

目的 ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、PET)布は、防しわ性、速乾性、ヒートセット性、耐薬品性等に優れているが、疎水性であるため吸水性・吸湿性に乏しく、着用時の帯電、油染みや埃の付着等も問題となる。そこで、乾式処理の一種である大気圧プラズマの照射によるPET布表面の親水化を試み、ぬれ性の変化を調べた。
方法 試料はPETフィルム(EMBLET SA-188、厚さ0.188mm、ユニチカ(株)社製)およびPET布(JIS試験用添付白布、フィラメント平織物、厚さ0.090mm、日本規格協会)を用いた。大気圧プラズマ照射は、気体源に圧縮空気を使用し、plasma pre-treatment components(plasmatreat GmbH社製(独))を用いて、噴出ノズルの直径20mmで行った。
結果 処理条件を決定するために、PETフィルムを試料として、ノズルから試料までの距離(D)、試料の移動速度(V)、繰り返し回数(N)を変化させて処理を行った。sessile drop法による水の接触角を測定して、親水化の程度が大きく、照射むらの少ない最適処理条件としてD = 7 mm、V = 0.16 m/s、N = 2回を決定した。XPS測定の結果、処理によりPETの表面酸素濃度が増加することがわかった。PET布も同様に処理し、布から抜いた繊維を用いて、Wilhelmy法により水の前進接触角(θa)ならびに後退接触角(θr)を測定した。処理によりθaは 87°から57°へ、θr は 46°から29°へと減少し、ぬれ性が向上した。θaは時間経過や繊維を水洗することにより大きくなり、疎水性回復が見られたが、θrはほとんど変化がなく、極めて安定であることがわかった。さらに、PET布を用いたバイレック法ならびに滴下法による吸水速度測定でも、処理による吸水性の向上が確認された。

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