目的 住生活における調理作業時には、食材の鮮度を確認することが必要不可欠であり、その際には食材表面の色や形状などの視覚的特徴に基づいて判断されると考えられる。本研究では、食材の鮮度を正しく容易に判断できる照明条件を明らかにすることを目的とし、異なる照明条件下において食材の劣化のわかりやすさに関する主観評価実験を行った。
方法 実験に先立ち実施した食材の色彩調査結果1)より、使用頻度が高く、色・表面性状が異なる6種の野菜(ほうれん草、レタス、じゃがいも、人参、なす、トマト)を視対象として選定した。これらの食材を常温で放置し、劣化の様子を観察した結果に基づいて、レタス・ほうれん草に対しては劣化による色の違いのわかりやすさ、じゃがいも・人参に対しては劣化による凹凸の違いのわかりやすさ、なす・トマトに対しては劣化によるつやの違いのわかりやすさを、4種の光源条件(蛍光灯[3000K]、D65標準光源[5500K]、LED[2800K]、LED[5000K])、及び3種の照度条件(50lx、200lx、800lx)を組み合わせた12条件の下、D65光源下での見えを100としたME法及び6段階の言語評価尺度で評価させた。
結果 いずれの食材も照度が高いほど劣化の程度がわかりやすく、レタス・ほうれん草は低色温度より高色温度において劣化の程度がわかりやすいことが示された。また、長波長成分を多く含む食材(人参・トマト)は、低色温度の光源において、劣化による凹凸及びつやの程度がわかりにくいことが示された。
[引用] 1)福本陽子、奥田紫乃:調理作業時の視対象となる食材の色彩調査,平成21年電気関係学会関西支部連合大会講演論文集P-31,2009.11