一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
63回大会(2011年)
セッションID: 3E-2
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5月29日
子どもの氏とアイデンティティにみる選択的夫婦別姓のあり方
*吉井 美奈子
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抄録
【研究目的】
 現在、「選択的夫婦別姓」の民法改正案はとん挫状態にあり、その理由の一つに「子どもの氏」が、どちらかの親と異なることへの懸念がある。
日本では、正式な場や日常生活でも、多くの場合「氏(姓)」で呼ぶことが一般的であり、「氏(姓)」がアイデンティティの中でも重要であることは否めない。選択的夫婦別姓が認められていない現在でも、近年、親の離婚や再婚等の増加で、子どもの氏(姓)が何度か変更されることが増えた。これが子どもたちのアイデンティティ形成にどのように影響するかを研究、検討する必要がある。
本研究では、子どもがどのように氏(姓)を習得するかについて考察するために、子どもが自分の氏(姓)をどのように習得していくか、またその文字の習得について検討することを目的としている。
【研究方法】
 2010年12月に1歳~6歳児の子どもを持つ保護者に対して調査票を配布、回収した。調査対象者は、大阪府、京都府、奈良県に住む保育園、幼稚園に子どもを預けている保護者とし、保育園・幼稚園を通じて調査を行った。有効回収数は419票(きょうだい票を含む)で、回答者のほとんどが女性(母親)、平均年齢は35.3歳であった。
【結果および考察】
1.子どもたちの多くは、自分の名前をフルネームでいうことができた。 2. 自分の名前が書けるようになったのは、3~4歳頃が多い。 3.約半数の親が「子どもが最初に文字を書けるようになったのは、“自分の名前”であった」と回答していた。 4.婚姻時に改姓した女性の多くは「それが普通」だと認識しており、「本当は改姓したくなかった」という回答は1割ほどであった。
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