一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
63回大会(2011年)
セッションID: 3E-6
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5月29日
身体に障害のある子どもを持つ保護者の障害受容意識に関する研究
半構造化面接法による保護者インタビューを通して
*佐々木 剛草野 篤子
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抄録

目的 「準じた教育課程」に位置づけられる身体に障害のある子ども(以下、肢体不自由児とする)を対象とした半構造化インタビュー法及び質問紙法調査結果のうち、自由記述で得られた文章の内容を解析する。障害により制限される教科学習など通常の学校教育に準ずる学習環境を肢体不自由児がどのように受け止め、乗り越えようとしているのかを探る。また、肢体不自由児を持つ保護者が、子どもの障害受容の危機を乗り越える過程を調査することにより、障害のある子どもの学習意欲を喚起し保証する支援の構造について考察する。
方法 東京都内在住で、肢体不自由特別支援学校に通学する子どもを持つ保護者及び特別支援学校卒業者を対象に半構造化面接調査を実施した。また、東京都内の特別支援学校に在籍する中・高校生とその保護者を対象とした質問紙法による意識調査を実施した。調査期間は2010年12月~2011年1月。有効回答数は生徒116名、保護者101名であった。
結果 卒業者及び保護者(それぞれ2名)の半構造化法による面接をカテゴリー分析したところ、両者とも危機を乗り越える際には、当事者とその周辺の支援をする立場にある者の役割と存在が重要であることが分かった。特に、保護者面接からは、保護者自身の障害受容という危機を脱出する時期に出会った教員の助言と教員自身の葛藤能力が、その後の保護者の回復を高めることが確認できた。また、卒業者への面接では学習意欲喚起に、今日の特別支援教育がまだ十分な対応体制に至っていないことが示唆された。

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