一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
63回大会(2011年)
セッションID: 3G-10
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5月29日
洗浄剤としての重曹のベネフィット/リスク評価
*大矢 勝甲斐 義明
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抄録

目的 消費者の中で重曹(炭酸水素ナトリウム)を洗浄に利用する習慣が広まっているが、その消費者情報にどのような内容が含まれているのかを分析するとともに、実際の重曹の洗浄性やその根拠について実験的に検証した。
方法 インターネット上の代表的な3か所の検索サイトで「重曹」をキーワードとして上位1000件の情報を収集して内容を分類・分析した。軟水化作用についてはイオンクロマトグラフィーを用いてCa・Mgイオンを定量した。洗浄試験には強極性油、中極性油、無極性油、カーボンブラック、酸化鉄(_III_)、ヘモグロビンの6種の単独汚れ汚染布を用いてターゴトメータで洗浄した。
結果 重曹利用に関する情報は、重曹の洗浄性を肯定的するものが大部分を占めており、その根拠として軟水化が挙げられていることが分かった。そこで、炭酸水素ナトリウムの軟水化作用について実験的に検証した結果、有効な軟水化には30~60分間以上の時間が必要であり、実際の汚れ除去能力も脂肪酸汚れには有効であるが、中性脂質、炭化水素、カーボンブラック、酸化鉄(_III_)、ヘモグロビン汚れには効果が低いことが分かった。また、脂肪酸汚れに対してはアルカリ緩衝能が影響していることが分かった。その他、水生生物毒性は低いが、消費エネルギー的には洗剤・石けん類と比較して不利であることが分かった。

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