一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
63回大会(2011年)
セッションID: 3G-12
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5月29日
機能性天然染料による染色
芦澤 ゆう子牛腸 ヒロミ*上西 朋子小見山 二郎
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抄録

目的 環境保全の観点から再び天然染料が注目されるようになり、さらに、天然染料のもつ機能性も再認識されるようになってきた。本研究では、天然染料のもつ機能性を保持したまま、実用のレベルに達するような染色物を得ることを目的とした。
方法 試料布は綿ブロードで染料は、緑葉、シコン、キハダ、西洋アカネの抽出物である。媒染剤として酢酸アルミニウム、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、タンニン酸、マルトースを用い、先媒染法、後媒染法などで、所定濃度、所定温度で染色した。染色布の消臭評価を検知管法で行った。染色布の洗濯堅ろう度、日光堅ろう度も測定した。
結果 今回の天然染料での濃色化には先媒染法が有効で、緑葉は重ね媒染法でさらに濃く染まった。酢酸アルミニウムを媒染剤に用いたシコン先媒染染色布と緑葉重ね媒染染色布が特に濃色であった。アンモニアの消臭性に関しては、媒染剤として酢酸アルミニウムを用いた後媒染染色布、重ね媒染染色布と、タンニン酸を用いた染色布に消臭効果があった。酢酸アルミニウムとタンニン酸自身にアンモニア消臭能があることが推定できた。シコンと緑葉染色布で酢酸アルミニウムを媒染剤とした重ね媒染法と、キハダタンニン酸先媒染染色布に最も速い消臭効果がみられ、吸着開始5分後のアンモニア残存量は6ppmという低い値を示した。日光堅ろう度が良好だったものは、西洋アカネタンニン酸先媒染染色布で3-4級が得られ、洗濯堅ろう度ではシコン酢酸アルミニウム後媒染染色布で4-5級以上が得られた。

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