一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
63回大会(2011年)
セッションID: 3J-6
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5月29日
学生アパートにおける揮発性有機化合物濃度と生活用品との関連
*五十嵐 由利子萬羽 郁子
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抄録

【目的】建築基準法が2003年に改正されて以降、一般住宅におけるホルムアルデヒド濃度の低下が報告されているが、居住者が室内に持ち込む家具等の生活用品によって室内の空気質が清浄に保たれにくくなることが懸念されている。特に、一般住宅より生活用品が多く持ち込まれ、換気量も少なくなりがちな学生アパートを対象とした研究報告は少なく、筆者らは昨年度本大会において学生アパートの夏季におけるホルムアルデヒド濃度が高くなっていることを報告した。本研究では、さらに事例数を増やし、ホルムアルデヒド以外の揮発性有機化合物濃度についても実測調査を行い、室内に持ち込まれる生活用品や換気行動との関連について検討することを目的とした。
【方法】家具等の購入時に留意していることを把握するため大学生を対象にアンケート調査を行った(有効回答数:339)。新潟大学周辺の築4年以内の学生アパート13戸を対象に、ホルムアルデヒド濃度(検知管法)、トルエン、エチルベンゼン等の濃度(簡易ガスクロマトグラフ法)等の測定を行った。調査期間は夏季(2010年7月~9月)と冬季(同年11月下旬~12月上旬)である。
【結果】家具は比較的安価でデザインや機能性が重視され、室内空気質への影響に配慮した人はほとんどいなかった。夏季におけるホルムアルデヒド濃度は、住戸の半数が指針値の0.08ppmを超え、エチルベンゼンとスチレンの指針値を超えた住戸が1戸あった。夏季において、ホルムアルデヒド濃度が高かった住戸は、生活用品の量が多く、また、室温が他の住戸に比較して高い傾向にあった。24時間換気が設置されている住戸でも、給気口が閉じているなど換気量不足が推察された。

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