一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
63回大会(2011年)
セッションID: 2P-3
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5月28日
南アジア農村女性の生活問題発掘調査
*榮 光子
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抄録

◆目的 近年、世界は「経済合理性」を基礎とし、自己利益の最大化を求める伝統的経済学とは相反するwin-winの思想に基づく社会共生・協働の方向に向かっており、地域、世界、地球レベルの複雑化するさまざまな問題に対応して対処しようという考えが広がっている。日本の衣食住における家庭生活においても同様の動きが進んでおり、2008年財務省「貿易統計」、総務省「産業連関表」によれば、家庭製品や食料の半数以上が開発途上国から輸入されたものである。しかし、日本の消費者は製品を供給する生産者・労働者の生活、教育、労働等への関心は低く、グローバル化する経済の中で消費者として先進国としての責任を果たしていないのが現状である。本調査では、南アジアの開発途上国で農業に従事する農村女性の生活に関する問題を明らかにすることを目的とした。 ◆方法 2011年1月に南アジアの農村女性(22~65歳)約100名を対象にクオリティ―コントロールの手法を用いて問題発掘調査を実施した。本調査では1つの問題につき1枚のカードを使用した。1人20枚のカードを配布し、表面には現在抱えている生活の問題とその重要度を3段階(A:とても重要な問題、B:まあまあ重要な問題、C:まあまあ重要な問題)で、また、裏面にはその解決方法を記入してもらった。得られたデータについて統計ソフト(SPSS 18.0)を用いて計量的に解析した。 ◆結果 南アジア農村女性の抱く土地所有権に関する問題、配偶者に関する問題(飲酒、労働等)、収入に関する問題、自己実現に関する問題、医療に関する問題、子供の教育に関する問題等が抽出された。本調査で得られたデータをもとに、問題の構造について特製要因図を用いて影響度の高い要因を特定し、問題の発生原因を分析した。

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© 2011 一般社団法人 日本家政学会
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