抄録
[目的]近年、朝食の欠食が生活の質を低下させる可能性が広く認識されつつある。演者らはこれまで生殖機能が成熟する過程にある若年女性の朝食欠食は現在のみならず将来の生殖機能に悪影響を与える可能性について報告してきた。1)今回は朝食の欠食とともに夜遅い食事や間食など、摂食リズムを乱す要因となりうる食習慣が生殖機能に及ぼす影響について、アンケートによる実態調査と食事記録調査を行った。[方法]アンケート調査は2010年に平均年齢19.0±0.7歳の女子学生を対象に、食事摂取の有無や摂取時刻と月経時の自覚症状について自記式で実施し、282名から有効回答を得た。食事記録調査は2008年に平均年齢18.6±0.7歳の女子大学生31名を対象に実施し、23名から有効回答を得た。被験者には自記式による回答と食事内容の撮影を依頼し、提出された回答と撮影画像データの分析を行った。いずれの調査も事前に対象者から同意を得た上で実施した。[結果]今回のアンケート調査でも朝食欠食者は有意に月経痛の程度が強いこと、月経前症候群の自覚症状があることが確認されたが、加えて22時以降の食事摂取頻度が高いと月経痛が強くなること、朝食欠食者が増えることも明らかとなり、夜型の食生活が朝食欠食を誘発している可能性が示された。月経前症候群については、間食摂取頻度が高くなると自覚症状が増え、とくに食事記録調査の分析結果から自覚症状がある群においては夜間の間食による摂取エネルギーが有意に高くなることが明らかとなった。以上の知見から、朝食欠食、夜型の食事、間食の多食といった食事リズムの乱れは若年女性の生殖機能に相乗的または相加的に悪影響を及ぼす可能性が示唆された。
文献1)Fujiwara T. and Nakata R.Appetite2010:55:714-717.