一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
64回大会(2012年)
セッションID: 3F-5
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口頭発表 5月13日 家政学原論、家庭経営・経済、家族
韓国におけるひとり親家庭で育った大学生のライフストーリー
*李 璟媛
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抄録

目的 韓国におけるひとり親世帯は,2010年現在,約160万世帯で,一般世帯の9.2%を占めている.2010年には,約12万件の離婚が成立しており,そのうち親権を必要とする子どものいる夫婦の離婚は6万件以上である.離婚の増加とともに,ひとり親世帯の子どもも増えている.そこで本研究では,韓国のひとり親家庭で育った大学生におけるひとり親家庭の子どもとしての生活史を明らかにし,ひとり親家族の経験が将来の生活設計にどのような影響を与えるかを明らかにすることを目的とし,分析を行った.方法 本研究は,韓国で2009年に実施したひとり親家族の経験を持つ4人の大学生を対象としたライフストーリー・インタビューに基づいている.インタビューの時間は,1時間15分から1時間40分程度である.使用した言語は韓国語である.結果 (1)ひとり親家族の子どもがひとり親家族になってまず経験したのは,親を失った喪失とその延長線上にある社会的偏見であることが明らかになった.(2)ひとり親家族の子どもである自分の立場について,2人は,「恥ずかしい」「恥ずかしいことではないけど,恥ずかしい」と思ったと語り,3人は,「人とは違う.いい意味ではない」「引け目を感じる」「劣等感がある」と表現した.(3)一方,他人とは違う自分に対して,「いい子でいる」「いい子に成長する」「成功する」ことで,その違いを埋めようとしていた.(4)ひとり親家族を経験した子どもたちは,将来について,早く結婚することで安定したいと考えており,配偶者の意見を尊重し,明るい家庭を作ることを計画していた.さらに,養育親との関係においては,依存関係ではなく,対等で互いに自立した関係を構築することを目指していることが明らかになった.

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© 2012 一般社団法人 日本家政学会
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