一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
64回大会(2012年)
セッションID: 3B-12
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口頭発表 5月13日 食物
葉酸代謝酵素γ-グルタミルヒドロラーゼの臓器局在の検討
*中田 理恵子井上 裕康
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抄録

【目的】食品に含まれる葉酸は、グルタミン酸が複数結合したポリグルタミン酸型として存在し、小腸に存在するγ-グルタミルヒドロラーゼ(EC. 3.4.19.9)によってモノグルタミン酸型に加水分解された後に、体内に吸収されると考えられている。本研究では、葉酸の消化吸収、細胞内への取込み等において重要な働きをしているγ-グルタミルヒドロラーゼの生体内での機能を分子レベルで明らかにするため、大腸菌を用いた組換えγ-グルタミルヒドロラーゼの発現系の構築を行った。さらに、精製した組換えタンパク質を用いて抗体を作成し、ラット臓器における局在を検討した。
【方法】ラット腎臓由来のγ-グルタミルヒドロラーゼcDNA(シグナルペプチドを除く)を発現ベクターに組み込み、大腸菌に形質転換し、タンパク質を発現させた。菌体の可溶性画分を用いて、組換えタンパク質の精製を行った。酵素活性はプテロイルペンタ-γ-グルタミン酸(PteGlu5)を加水分解して生成するPteGluをHPLCにて定量し測定した。さらに、得られた組換えタンパク質を抗原としてウサギで作製した抗体を用い、ウエスタンブロット法、免疫組織染色法により臓器局在を検討した。
【結果】大腸菌によるγ-グルタミルヒドロラーゼ大量発現系を用いて、酵素活性を有する組換えタンパク質を精製することに成功した。γ-グルタミルヒドロラーゼの臓器分布をウエスタンブロット法により解析したところ、小腸、腎臓、胃における発現が認められた。さらに、臓器切片の免疫組織染色を行ったところ、十二指腸および空腸の吸収上皮細胞、腎臓の皮質部、胃の主細胞での局在が明らかとなった。

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