一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
64回大会(2012年)
セッションID: 2E-5
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口頭発表 5月12日 被服
夏季着用の衣服に付着した汗汚れの効果的な除去方法の検討
牛腸 ヒロミ荒井 美帆*上西 朋子小見山 二郎
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抄録

目的 天然の汗汚垢布を用いて、洗浄方法によって生じる汗汚垢布の黄変や水に対する寸法変化率等の測定から、水洗い不可表示のある夏季着用衣服の汗汚れに対する効果的な除去方法を検討した。
方法 洗浄実験には、天然の汗汚垢布を用いた。汗汚垢布は、夏の日中に6時間、20代の女性、のべ11名の襟に試験布を装着して得た。天然の汗汚垢布の半分を水系で洗浄して放置し、残り半分は対照として洗浄せずに放置した。洗浄方法は2種類である。洗浄-放置を7日間継続して行い、洗浄布、未洗浄布の表面の状態の評価を、測色と目視で行った。水に対する寸法変化率をJIS L1096(C法)などで測定して、天然の汗汚垢の汚れ落ちの評価に加えて、洗浄による寸法変化を検討した。  
結果 洗浄実験の評価方法の一つとして布表面のL*a*b*値を測定した。b*値の経時変化から、未洗浄布とS法で洗浄した汚染布は黄変が生じたが、A法で洗浄した汚染布は黄変が生じなかったことが分かった。もう一つの評価法である5段階目視評価でも、S法で洗浄した汚染布は未洗浄布よりはよかったが、A法で洗浄した汚染布の評価がさらによく、目視でも黄変が抑えられていることが分かった。水に対する寸法変化率の測定から、最も変化の大きかったレーヨンモスリンで比較すると、S法で洗浄した布の寸法変化率は0.1%だったのに対し、A法のそれは7.5%、JIS L1096(C法)7.1%と大きな値を示した。S法よりA法が汗汚れを効果的に除去できたが、レーヨン布では洗浄後の寸法変化率は大きかった。これらのことから、洗浄に使ったタオルの含水率と洗浄の際に加える力を再考する必要があることが明らかになった。

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