一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
64回大会(2012年)
セッションID: 2E-7
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口頭発表 5月12日 被服
ポリエステル布の水系洗浄性に及ぼす超音波照射の影響
*原山 こころ後藤 景子
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抄録

目的 衣服に付着した疎水性汚れは水洗濯で落ちにくく, とくにポリエステルのような疎水性繊維からの汚れ除去は難しいとされている. さらに, 通常の水洗濯では被洗物に与える損傷が大きい. そこで本研究では, 水系洗浄における機械力として超音波を利用し, その有効性を検証するために人工汚染布を用いて洗浄率および再汚染の程度を評価した.
方法 モデル汚れとしてカーボンブラックまたはオレイン酸をポリエステル平織布(50×50 mm2)に付着させて人工汚染布を作成した. 汚染布と原白布を各1枚ずつ一組にして種々の浴比の洗浄水溶液中で機械力(震盪, 超音波またはウエスケーター)を与えて洗浄した. 洗浄液には, 中性塩, アルカリおよび各種界面活性剤を添加した. 洗浄前後の布の表面反射率を測定してクベルカムンク関数を求め, 洗浄率および再汚染の程度を算出した. また, 機械力評価布(MA布, WAT布およびEMPA306)を用いて布の損傷を調べた.
結果 界面活性剤水溶液中で, オレイン酸はどの浴比でも超音波洗浄で80%程度除去されるが, 震盪洗浄では洗浄率が超音波洗浄の半分以下となった. カーボンブラックはオレイン酸と比較して洗浄率が小さく, 洗浄時間の経過とともに再汚染が増加した. また, オレイン酸, カーボンブラックともに浴比の低下により再汚染が助長される傾向が認められた. どの洗浄液中でも超音波洗浄が, 震盪洗浄よりも高い洗浄率を示したが, 再汚染も大きかった. また, ウエスケーターを用いてISO 6330 4Aに準拠して洗浄したところ, 超音波を用いた場合よりもやや高い洗浄率を示したが, 布の損傷も著しく大きかった. 一方, 超音波洗浄では出力の増大により洗浄率向上の可能性が示唆され, 布の損傷もほとんど見られないことがわかった.

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© 2012 一般社団法人 日本家政学会
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