一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
64回大会(2012年)
セッションID: 3E-7
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口頭発表 5月13日 被服
19世紀イギリス女性のアンダーウェアとしての脚衣
*山村 明子
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キーワード: 脚衣 , イギリス, 19世紀
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抄録

目的 19世紀に着用されたクリノリンはかご状になっており、スカートの裾は軽く持ち上がりやすいため、内部の脚をさらに包むためのリネン製のドロワース(またはパンタレッタ)を着用している。それは人目に触れることを前提としたものではない。さらに19世紀後半に流行したスポーツ用のスカートの場合には、外衣とアンダーウェアの中間としての脚衣が合わせて着用されてきた。本発表ではこれらのスカートの内部の着装を検討することで、スカートの表現について考える。 方法 資料として当時イギリスにて発行されたThe Queen”, “The girl’s own paper”, “Graphic” などの婦人雑誌、一般誌を主に使用する。 結果 スカートの内部にニッカボッカーズはアンダーペチコートの代わりとして着用された。それはドロワースのように肌着としての脚衣ではなく、テーラーがデザイン設計したスーツの一部としてのニッカボッカーズであり、スカートの裾を短くしたときには表層に現れる。スポーツ用として提案されたスカートはショート丈であるとともに、腰回り、裾周りのボリュームが抑えられ、それが新規の「格好の良さ」を示していた。スカートのシルエットがプレーンでスリムになれば、その下に着用するニッカボッカーズもおのずとボリュームが少ないものが求められた。ニッカボッカーズは本来は男性の服飾品である。しかし、イギリス女性たちが着用したそれは、外衣として単独で成立しているのではなく、あくまでもスカートと組み合わせて、内部に着用するものであり、女性のアンダーウェアの発展形の服飾品であると考える。

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