一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
64回大会(2012年)
セッションID: 2I-2
会議情報

口頭発表 5月12日 住居、震災
ケア形態からみた子どもの住生活の現状と小規模化のあり方に関する研究
-全国児童養護施設調査による-
*二井 るり子今井 範子牧野 唯
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】近年、児童養護施設は、多様な問題を抱える入所児童に個々に対応したケアを提供するため、ケア形態1・ケア単位2の小規模化及び個室化の傾向にある。その一方で、少人数の固定化された職員と、子どもとの生活において、双方の閉塞感や職員の疲弊等の問題が生じている。そこで本研究では、ケア形態からみた子どもの住生活の現状と小規模化の動向を把握し、今後の小規模化のあり方を明らかにすることを目的とする。【方法】〈全国調査〉全国の児童養護施設580施設に悉皆調査(質問紙調査・郵送法)実施。回収率59.3%(2011年7月)。〈事例調査〉ケア形態等の異なる3施設を選定し、観察・ヒアリング調査実施(同10月)。【結果】大舎制施設には、中舎や小舎を併せ持つもの、6名以下のケア単位を持つものが存在し、大舎のケア形態を残しながらケア単位の小規模化が行われている。大舎では職員の相互扶助の空間とその体制が評価されるが、個室化や私物管理、中学生の就寝様式に問題が存在する。小舎では小規模のケア単位内で調理や洗濯等の家事行為が行われることから、家庭的雰囲気とケアの個別化が評価され、一方、調理体制、職員の配置基準・質等に課題があり、共用の遊び場や学習室の必要性が指摘できる。今後、小規模化を進める上で(1)ケア単位を超えた共用空間の充実、(2)年齢に応じた個別空間の確保、(3)職員の負担を軽減する施設全体の厨房や洗濯設備の設置等の計画的考慮が必要である。1) ケア形態:1舎あたりの定員数による分類。大舎(20名以上)、中舎(13~19名)、小舎(12名以下)のケア形態がある。2) ケア単位:日々の生活プログラムを共にする集団の単位※本研究は、科学研究費補助金(基盤研究C:研究代表者 今井範子)によっている。

著者関連情報
© 2012 一般社団法人 日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top