一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
64回大会(2012年)
セッションID: 3H-1
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口頭発表 5月13日 家政教育
家庭科教育における「家族の健康に配慮した調理実習」に関する検討
高血圧の人に配慮した食事作り
*岡崎 由佳子岡崎 佳子高瀬 淳
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キーワード: 家庭科教育, 調理実習 , 健康
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抄録

目的 高等学校家庭科教育における調理実習は,食生活の自立に必要な知識と技術の習得を主な目的としており,教科書における実習の献立は,青年向け,幼児向けといった特定の集団を対象に構成されている。我々はこれまでに,盛り付ける量や食事形態を少し工夫することで,摂食能力が低下した人や糖尿病の人が家族と同じ献立の食事を楽しむことができるという調理実習を行ってきた1)2)。本研究では,高血圧の場合でも家族と一緒に楽しむことのできる食事作りを実施し,家庭科教育における調理実習への応用の可能性を検討することを目的とした。
方法 藤女子大学人間生活学科の「調理学実習」の授業において,学生33名を対象に4時間(1時間は90分)の授業を行った(2011年12月~2012年1月)。まず,高血圧の人の食生活上の留意点について講義した。次に,献立を変えなくても主食,主菜,副菜の盛り付けを工夫することで,家族とほぼ同じ食事が楽しめることを栄養計算によって理解させ,調理実習を行った。授業後のアンケート調査から,学習内容を考察した。
結果 高血圧に配慮した食生活を知っていた学生は10名で,理由として「家族に高血圧の人がいる」という回答がみられた。また,「一人だけ別の料理を食べるのではなく,盛り付け等を工夫することで家族が同じメニューを食べることができると分かった」「作る側の手間もかからず,日常生活に役立つ」という感想がみられた。以上より,高等学校の家庭科教育では,基礎的な知識と技術の習得に加えて,食べる人の状況に配慮できるような調理実習を実践することが必要であると推察された。1) 岡崎他,日本家庭科教育学会第52回大会要旨集,p.86–p.87 (2009) 2) 岡崎他,日本家政学会第63回大会要旨集,p.171 (2011)

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© 2012 一般社団法人 日本家政学会
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