一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
64回大会(2012年)
セッションID: 2P-38
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ポスターセッション 5月12日
型紙のデジタル化処理 その14
―仙台浴衣と仙台手拭について―
*川又 勝子佐々木 栄一
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キーワード: 型染め, 型紙, 電子保存, 浴衣, 手拭
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抄録

[目的] 大正から昭和40年代にかけて、当時の大量染色法である注染により、浴衣や手拭が関西地方や関東地方で数多く生産されていた。一方、これらは仙台地方でも生産され、東北・北海道の消費者の要望も取り入れたこの地方の特色ある製品が広く販売されていた。調査対象としている染色工場に染色品として現存しているものは僅かであるが、注染型紙は多数保存されており、これまでに654枚の調査とそれらの文様の電子保存を行った。今回は50枚の注染用型紙の調査結果について報告する。
[方法] 方法は従来通り行った。すなわち1)型紙の調査、2)型紙の電子保存である。スキャニングが困難な破損・欠損型紙については、紙資料用補修テープを用いて裏面から型紙の補強と固定を行った後に電子保存を行った。
[結果] 1)破損・欠損箇所のある型紙は50枚中30枚であった。前報までの型紙と合わせると、第3型入れ箱の型紙破損・欠損率は42.6%となる。物理的修復方法として、加湿後に補修テープを用いての補強を行ったが、現在のところ、補修による資料の状態の悪化等はみられていない。また、これまでは紗張り型が多数を占めたが、今回の調査では、20枚の糸入れ型が見られた。糸入れは紗張りが行われる以前に行われていた型紙の補強方法である。2)スキャニング画像は汎用ソフトで破損・欠損箇所の修復とゆがみ除去を行い、その一部についてインクジェットプリンタによる布製染め見本の作成を行った。また、これまでに電子保存した名入れ型紙246枚を収録した型紙資料集も作成した。
なお、本研究は平成21~23年度文部科学省科学研究費補助金(若手研究(B)課題番号:21700720)の補助を受けて行った。

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