目的 チルドデザート市場(プリン及びゼリー)は国内で約800億円に上る。市販デザートでは素材・味・外観・食感などに特徴をつけ「おいしさ」を強調した商品が多く、また消費者調査でも「おいしさ」が商品購入の上で重視されることが示されている。「おいしさ」は五感すべてで知覚するもので様々な指標が考えられるが、本研究ではチルドデザート商品の「食感」を機器測定により客観的に比較することを目的とした。一方でプリン・ゼリーは介護食品の分野、例えばえん下困難者の摂食訓練などで利用されており、機器測定による物性評価法の研究が進んでいる。えん下困難者用食品の試験法で得られたデータをマッピングすることにより、チルドデザート製品の食感比較を行った。
方法 レオメータ(サン科学製、COMPAC-100II)を用い、市販チルドデザート商品についてえん下困難者用食品の試験法(2011年、消費者庁)により、測定を行った。測定データから「硬さ」、「付着性」、「凝集性」の値を抽出し、散布図(食感マッピング)を作成した。散布図中の特異的な位置にある商品について、指標の値を食感の特徴と比較検証した。
結果 チルドデザート商品について、えん下困難者用食品の規格基準に照らし合わせると、ほぼすべての製品が基準Iの範囲に収まった。特徴的な食感を持たせた商品については基準Iの範囲から外れ、基準IIおよび基準IIIの範囲に分布することが分かった。またマッピングを作成することにより、商品の特徴を定性的に表現し比較することができた。