目的 本研究ではキャッサバデンプンを使用した新規パンの開発を目的とし、南太平洋のフィジーで日常的に食べられているキャッサバパンの製法を参考としてパンの製造を行った。小麦粉、イースト、塩、砂糖などパンの材料の他、ココナッツミルクとキャッサバデンプンを使用し、パンの作成を試みた。キャッサバデンプン添加量の異なるパンの性質、嗜好性について比較した。方法 試料のパンは2種類を製造し、パン①はキャッサバの他、小麦粉、塩、砂糖、ドライイースト、全卵、スキムミルク、ココナッツミルクを用い、パン②は小麦粉、塩、砂糖、ドライイースト、ココナッツミルクを用いて各々蒸しパンとした。物性はテクスチャーアナライザーにて行い、弾力性を測定した。官能検査は色、味、硬さ、総合評価の4項目を、3点識別法で実施した。結果 パンの物性、特に弾力性を測定した結果、パン①の3%キャッサバデンプン添加パンは硬さ約421g、キャッサバデンプン無添加パン(ブランク)では約407gとなり、14g硬さが増した。パン②のキャッサバデンプン無添加パン(ブランク)は約631g、30%キャッサバデンプン添加パンは約1040g、50%キャッサバデンプン添加パンは約1366gとなり、キャッサバデンプン添加量が多くなるのに従い、硬さの増加が確認された。官能検査の結果、パン①では有意な差が見られなかったが、パン②は色、味、硬さ、総合評価のいずれも30%キャッサバデンプン添加パンで高い評価が得られた。