一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
67回大会(2015年)
セッションID: 3I-6
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口頭発表 5月24日 食物
共役リノール酸の摂取が脂質代謝に与える影響
*及川 大地岸本 梨江谷口 由夏本村 菜摘
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抄録

目的 共役リノール酸(Conjugated linoleic acid: CLA)は,リノール酸と同様C18:2で表されるが,共役ジエン結合で構成されている脂肪酸である.この共役ジエン結合の違いからCLAは複数存在し,9cis,11trans型は癌の発症を抑制し,10trans,12cis型は抗肥満作用を有している.現在,CLAの新規機能の探索が進められているが,皮膚への影響を検証した研究はまだ少ない.そこで本研究では,CLA油の経口摂取による皮膚を中心とした脂質代謝機能について検証した. 方法 ICR雄マウス(4週齢)24匹を単飼ケージにて馴化後,4群に分け,大豆油7%を添加したAIN93G飼料(Control群),CLA油0.5%および大豆油6.5%を添加したAIN93G改変飼料(CLA0.5%群),CLA油1%および大豆油6%を添加したAIN93G改変飼料(CLA1%群),CLA油2%および大豆油5%を添加したAIN93G改変飼料(CLA2%群)をそれぞれ3週間与えた.飼育終了後,解剖により採取した肝臓,白色脂肪(精巣上体および腎臓周辺)は重量を測定し,皮膚および血液は脂質分析を行った.統計解析は一元配置の分散分析を行い,p≤0.05の時Tukey-Kramer法を用いて検定した. 結果 白色脂肪重量は,CLAの用量依存的に低下した.皮膚の脂質量に関して,CLA1%および2%群のトリアシルグリセロール(TG)量はControl群に比べて減少傾向が見られ,総コレステロール(T-Chol)量はControl群に比べてCLA1%群で有意に低下した.血漿分析において,CLA油摂取群の遊離脂肪酸(NEFA)濃度はCLAの用量依存的に低くなり,CLA1%および2%群のTG濃度はCLA0.5%群と比べ有意に低下した.レプチンおよびアディポネクチン濃度は,Control群と比べCLA1%および2%摂取群で顕著に低くなった.一方,GPT活性値はCLA摂取で有意に高くなり,肝臓重量はControl群に比べCLA0.5%群で増加する傾向が見られた.

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