一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
67回大会(2015年)
セッションID: 3I-9
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口頭発表 5月24日 食物
レスベラトロールによるヒトiPS細胞由来心筋細胞の遺伝子発現への影響
*滝澤 祥恵本郷 翔子中田 理恵子井上 裕康
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キーワード: iPS細胞, 食品機能成分, PPAR
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抄録

目的 赤ワインに含まれるポリフェノール・レスベラトロールは、心血管疾患の発症リスク低下に関与する成分として注目されている。我々は核内受容体PPAR活性化を指標にして食品機能成分の評価を行っており、レスベラトロールがPPARα、β/δ、γの選択的アゴニストであること、PPARα活性化を介して脳保護効果を持つことを明らかにした。さらに、生理的条件に近い低濃度レスベラトロール(1μM)で6日間処理した血管内皮細胞において、血管拡張や血小板凝集抑制に関与する血管内皮型NO合成酵素(eNOS)の発現が誘導されるともに、NAD⁺依存性脱アセチル化酵素SIRT1、生体の恒常性維持に関わるオートファジー関連遺伝子、活性酸素消去や抗炎症作用に関与する遺伝子の発現が同時に誘導されることを報告した(第66回本学会, Br. J. Nutr. 2013)。そこで本研究では、ヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いてレスベラトロールの心臓への効果を検討した。  方法・結果 拍動したヒトiPS細胞由来心筋細胞にレスベラトロール(10μM)を6日間処理した結果、PPARαおよびβ/δの発現が上昇した。さらに、脂質代謝に関連するPPARα応答遺伝子が誘導され、この結果は低濃度のレスベラトロールを含む赤ワイン凍結乾燥物を長期摂取したマウス心臓での発現誘導と一致していた。また、レスベラトロールによりヒト血管内皮細胞で誘導された遺伝子群の多くは、ヒトiPS細胞由来心筋細胞においても発現上昇が認められた。(共同研究:メルシャン(株))

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