目的:食育という概念がみられないラオス(ラオス人民民主共和国)に注目し、人々の食を営む力の育成がどのように行われているのかその実態を把握するため、本報告は首都ヴィエンチャンおよび近郊に居住する人々の食生活の実態について把握し、次に行う質問紙調査の基礎データとすることを目的としている。
方法:ラオス国立大学経済学部を通し、調査の許可および協力の要請の手続きをした後、調査を行った。聞き取りについては、半構造化インタビューを行った。対象は首都ヴィエンチャン居住者16名と近郊のヴィエンチャン県のサントン村居住者10名の合計26名である。
結果:サントン村居住者は専業農家4名、自営業3名、公務員3名で、専業農家以外のうち5名が兼業農家であった。首都ヴィエンチャン居住者については、被雇用者10名、自営業5名、公務員1名のうち、農業を営むものはなかった。24名が1日3回の食事をとっていた。食事内容の特徴は、カオニャオ(蒸しモチ米)や野菜類の摂取頻度が多かった。ヴィエンチャン市居住者は、朝食や昼食に麺類や惣菜を外食や店で購入する機会が特に多かった。夕食において家族や友人と会食としての外食は少なく、家庭内での料理の頻度は高かった。行事食については、日本のような年中行事にちなんだ各々の食べものは少ないが、正月や祭事、家族や親戚の集まる際に頻繁につくられる食べものがあり、現在もなお家庭で作られている機会が多く、親しまれていた。