【目的】玄米は健康機能性が期待される食品である。疫学的にはII型糖尿病リスクを低下させると推定されている。しかしながら、白米との比較では食味が非常に劣る、あるいは圧力釜を使うなどの特別な炊飯をするなど、加工・消費で課題が多い。「金のいぶき」は宮城県古川農業試験場で新しく育成された低アミロース巨大胚芽米であリ、食味がよいことが示唆されている。持続可能な健康志向ニーズが高まり、機能性と同時に食味が良いことが求められていることから、新しい米品種についての栄養・食味に関する諸特性を明らかにした。
【方法】基本的な栄養成分およびオリザノール含量は穀物検定協会に分析委託した。「金のいぶき」等の炊飯時加水は米重量比として0.1倍きざみで段階的に行った。炊飯米あるいは生米試料の50%エタノール抽出物からFキットにより各種糖含有量を測定した。炊飯米をテンシプレッサーで貫入試験を行い、硬さ、こし、粘りおよび付着性を得た。
【結果】「金のいぶき」は胚芽が大きいことから特にビタミンE含量が高かった。加水を異にした各種炊飯米の食味評価結果では、コシヒカリ玄米に比べて良好であった。スクロースはコシヒカリ玄米に比べて約2倍含まれており、これは白米の約10倍程度である。アミノ酸含量についてはGABAおよび前後の代謝物が多く含まれていた。