一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
68回大会(2016)
セッションID: P-042
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ポスター発表 5月28・29日 食物
女子大学生のための味覚教育プログラムの開発と効果
*濱口 郁枝東根 裕子作田 はるみ奥田 豊子
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キーワード: 味覚教育, 官能評価, 味見
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抄録

目的 現代の大学生は家庭で食事作りに携わる機会が少ない。そこで,女子大学生を対象に好みの汁物の塩味濃度と食事作りに対する意識との関係について明らかにし,さらに実習で味見を強化する味覚教育を行い,好みの汁物の塩分濃度に及ぼす効果を検討した。
方法 兵庫県内1大学における調理実習履修者53名を対象とした。4月(授業開始時期)と7月(授業終了時期)に0.7%,0.8%,0.9%の塩分濃度のすまし汁の好みについて,順位法を用いて官能評価を行った。また,食事作りに対する意識などに関する質問紙調査を7月に実施した。回答は7件法で求めた。
結果 4月のすまし汁の好みの塩分濃度の比率には差がなかったが,7月は1番好きな濃度は0.7%が31人(58.5%),0.8%が20人(37.7%)と多く,0.9%は2人(3.8%)であった。したがって,調味の際に味見をする経験を重ねた結果,健康に良い薄味が分かるようになり,さらに薄味を好むようになったと推察された。また,質問紙調査の結果,「塩味について慎重に味見をするようになった」は,非常に当てはまる・とても当てはまると回答した者を合わせて33人(62.3%)であり,味見に対する意識が向上したと考えられる。0.9%の濃い塩分濃度のすまし汁を好んだ者は,家庭で調理する意欲の程度が低かった。したがって,実習で味見の練習を行う味覚教育は,薄味を意識し好むことに効果があると示唆された。しかし家庭においても調理を行い,薄味に慣れ親しむ機会を多くすることが重要である。

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© 2016 一般社団法人 日本家政学会
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