一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
68回大会(2016)
セッションID: P-106
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ポスター発表 5月28・29日 家族・児童
家族支援の比較ジェンダー研究(2)
フィンランドにおける子育て支援の現地調査から
*木脇 奈智子太田 由加里
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抄録

目的 フィンランド・ロバニエミ市におけるネウヴォラの現地調査の結果から、ネウヴォラにおける家族支援の理念と実態について報告する。また、同市におけるDay care center(保育所)調査の結果から、フィンランドにおける保育所のあり方と保育者の労働環境について報告し、2つの家族支援をジェンダーの視点から分析する。
方法 フィンランド・ロバニエミ市(ラップランド県州都)における聞き取り及び参与観察調査をデータとする。調査期間は2015年8月3日~13日。調査対象:1)ネウヴォラ・ナース(保健師)、2)Day care center Teacher(保育士)、3)ラップランド大学教育学部幼児教育担当教員。
結果 ネウヴォラは胎児期から7歳までの切れ目ない支援として、子どもとその家族を無償でケアする制度である。「母子保健法」によって母子のみを対象とする日本と異なり、父親(母親のパートナー)を含めた「家族支援」である点が特徴である。親はパートナーとの関係性、DV、アルコール依存など心身の健康のチェックと助言を受けることができる。ネウヴォラ・ナースの役割は「親に説教する存在ではなく、ともに考え必要な連携機関に繋ぐ」ことである。
子どもの選択を重視した自由度の高い保育プログラムやビュッフェ形式の食事室。保育士の労働環境を重視した室内設計(壁収納式ベッドやCaféルーム)、ツールなどに工夫が見られた。多様な職種(教諭とラヒホイタヤ)が分担をしながら対等な関係で働いていたが、保育者におけるジェンダーバイアス(男性は管理職や障害児学級に偏る)が見られた。

 

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