主催: (一社)日本家政学会
会議名: (一社)日本家政学会第68回大会
回次: 68
開催地: 金城学院大学
開催日: 2016/05/27 - 2016/05/29
<目的>介護職員の心理的ストレスとコーピングの実態を明らかにし,介護職員のストレス軽減に効果的である具体的なコーピングを探求することを目的とする.
<方法>介護職員595名に対して配票調査を実施し,427名(71.8%)の有効回答を得た.さらに,その中から6名を対象にインタビュー調査を行った.
<結果>職場ストレス尺度(17項目の加算尺度,α=.87)は因子分析により,3因子(8変数からなる脱人格化,3変数からなる情緒的消耗感,6変数からなる個人的達成感)が抽出された.これら職場ストレス得点を従属変数として,「基本属性」「就業特性」「就業実態」「事業所特性」「健康」「年収」「介護能力」を独立変数とした分析の結果,「健康状態 」「就業実態」「事業所特性」「介護能力」が有意な影響を与えていた.23項目からなるコーピング(実態)の因子分析から,直接的問題解決,意識の切り替え,情報収集・協力依頼,間接的対処,逃避,相談の6因子が抽出された.低ストレス者は直接的問題解決や情報収集・協力依頼などの問題解決に直結するコーピングが多く,高ストレス者は相談を多くしているが,ストレス軽減にはつながりにくいことが明らかになった.ストレス軽減に有効であると考えられる問題解決のための直接的コーピングができること,ストレス軽減につながる相談体制の整備が求められる.