主催: (一社)日本家政学会
会議名: (一社)日本家政学会第68回大会
回次: 68
開催地: 金城学院大学
開催日: 2016/05/27 - 2016/05/29
目的
近年、上肢切断者の日常生活における生活の質の向上を目的とした電動義手の開発が盛んに行なわれている.我々は食事支援を行うことにより,生活の質が大きく向上すると考えた.そこで本研究では箸による食事支援を目的とした電動義手およびその制御手法の開発を行う.
方法
開発した電動義手は直動アクチュエータにより箸の開閉運動を再現している.また,箸を使用するにあたり重要な動作である手首の回転機能も再現した.さらに,手先部をユニット化することにより,様々な物体の把持が可能な対向三指のハンドと箸デバイスとの取り換えを可能にする.これにより,食事支援だけでなく日常動作支援も実現する.電動義手の制作には3Dプリンタを用いた.本デバイスは2自由度を持つため任意のモーションにより制御する動作の切り替えを行う.前腕の形状変化を3チャンネルの距離センサを用いて計測することにより,モーションの認識を実現する.さらに,選択したアクチュエータの制御は筋肉の隆起に応じて動作するよう設計した.
結果
上肢切断者を対象とした,箸による食事支援を目的とした電動義手の開発を行った.提案した制御法を用いることにより,実際に箸デバイスを用いての食事支援および日常動作支援が行えることを確認した.さらに,制作に3Dプリンタを用いることにより,義手の低コスト化を実現した.