【目的】学校が地域に対して開放的であり、地域との質の高い連携(以下「学地連携」と記す)を実現することの重要性が指摘されてから久しい。本研究は、学地連携に関する住民(世帯人員に児童を含まない者)と保護者の評価を地域的特徴が異なる3校区間で比較検討することが目的である。
【方法】対象は、新潟県上越市内の公立小学校(3校区)の住民(166名)及び保護者(233名)であった。調査項目は、「学地連携評定尺度(小泉:2000)」、「学校支援の希望(岩崎ら:2011)」、「学校教育への期待」、「学地連携関連制度の認知度」であり、各校区内において住民と保護者を対応づけたサンプリングを行った。
【結果】「学地連携評定尺度」について、確認的因子分析を行った結果、先行研究同様、3因子(「人的交流」、「参加性」、「開放性」)が得られ、「良好」とされる適合度が確認された(GFI=0.941, CFI=0.937, RMSEA=0.058)。次に、この3因子について、2要因(属性×校区)分散分析を行った結果「人的交流」で有意な交互作用が示された(p<0.01)。また、階層的クラスター分析の結果、「学校支援の希望」や「学校教育への期待」において、住民及び保護者間に様々な傾向性が確認された。「学地連携関連制度の認知度」については「放課後児童クラブ」が高いほかは、全体的に低い傾向が示された。今後は、学地連携の推進を図る上で、具体的にどのような介入が有効であるかについて、質的かつ実践的検討を試みたい。