一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
68回大会(2016)
セッションID: 3C-04
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口頭発表 5月29日 健康・震災・福祉
東日本大震災における宮城県石巻市の福祉仮設住宅
*中島 明子宮野 道雄生田 英輔萬羽 郁子大竹 美登利吉井 美奈子加藤 浩文坂田 隆山崎 泰央小川 宣子佐々井 啓浜島 京子久慈 るみ子野田 奈津実
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抄録

目的 東日本大震災において、「福祉仮設」は応急仮設住宅の一形態として高齢者・障害者のグループホーム(以下GH)が多く供給されたが、自治体により対応は異なる。宮城県石巻市では144戸(県283戸)が建設されている。本研究は、石巻市の「福祉仮設」の実態を把握し、今後の大震災における教訓を得ることを目的として行った。
方法 関連データ蒐集、GH運営者・制度外GH運営者インタビューと施設見学。期間2016年8月~12月。
結果 石巻市の福祉仮設住宅は「GH型仮設住宅」をさし3種類ある。①高齢者用は8棟70戸、②障害者用は8棟56戸、③多様な困難を抱える人々用の制度外GH型仮設住宅は2棟18戸供給された。高齢者・障害者用の福祉仮設についてはGHの再建等により順次解体され、2015年8月で高齢者用7棟61戸、障害者用4棟28戸となっている。一般仮設住宅の入居制度については①妊産婦、②乳幼児、③高齢者、④障害者世帯の順位で優先枠が設けられ、在宅の高齢者・障害者はそちらに住むか、仮設住宅に適応できない人々は、被災住宅やその他のところに避難した。明らかになったことは、①GH型仮設住宅が主に既存のGH居住者用となったために、在宅の高齢者、障害者がバリアフリー等が不十分な一般仮設住宅での生活になったこと、②優先戸数が少なかったため仮設住宅入居時期が遅れたこと、③制度外GH型仮設住宅の設置については効果があったことである。

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© 2016 一般社団法人 日本家政学会
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