一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
68回大会(2016)
セッションID: 3C-03
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口頭発表 5月29日 健康・震災・福祉
学校危機管理における緊急時シミュレーション体験に関する課題分析
―大規模小学校の避難訓練に関わる実践事例に着目して―
*八木 利津子
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キーワード: 災害安全, 協働, 訓練, 保護者
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抄録

目的)近年の大災害や事件等の発生状況を踏まえ,学校管理下では地震や事件発生時の避難訓練と共に保護者への引き渡し訓練を実施する学校が増えている.引き渡し訓練では教職員や保護者が適切に判断し行動できるように,問題点を把握しその都度改善を加えていく必要がある.しかし,訓練内容には配慮を要する課題が多いと考える.そこで,本研究では緊急事態に備えて子どもの命と安全確保のため,学校における引き渡し訓練について,課題を分析し課題解決に向けて検討した.
方法)大規模小学校(児童数900名以上在籍)の2校を調査対象とした.引き渡し訓練に参加した保護者(低・中・高学年からバランスを勘案して300名抽出・回収率66,3%)を対象に,質問紙法による自由記述式の調査を2015年6月実施.調査対象校の教職員(安全主任2名・管理職4名・養護教諭4名)に現状や課題等のヒアリング調査を2015年8月に実施した.
結果)危機管理の教育的訓練の中で火災・地震・防犯訓練は計画的に取り組まれているが,引き渡し訓練の回数は年間1回と少ない.実施計画については保護者の確認方法や引き渡し場所等,学校により違いがあった.また年間計画に位置づけられた経緯が短く,2割の保護者が問題点を示し保護者の指摘と教職員が認識する不安要素に明らかな差異がみられた.訓練後は家庭と学校が協働してふり返る場の設定が望まれる.

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