一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
68回大会(2016)
セッションID: 3C-06
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口頭発表 5月29日 健康・震災・福祉
東日本大震災における洗濯・衣服支援の実状
-岩手県の場合-
*菊池 直子増子 富美
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抄録

目的 東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県は、直後から日常生活のための様々な支援を受けてきた。避難所に届く衣服や洗濯機も支援物資であったが、一般に知られることはあまりなく、衣服に関わる支援の実状はよくわかっていない。今後に予想される災害に備え、衣服分野での有効な支援を検討するため、岩手県の被災者への聞き取り調査と資料収集を行った。
方法 2015年7~9月、本調査への協力が得られた被災者(久慈市、野田村、宮古市、釜石市、大船渡市、陸前高田市に在住)を訪問し、聞き取り調査を行った。資料収集は、同年5~7月、岩手県立図書館等で行った。
結果 ライフラインが復旧し、避難所に洗濯機が設置された以降も、手洗いをする人、コインランドリーや親戚の家で洗濯する人が認められた。避難所では、100人以上でも洗濯機1台のところもあり、避難者数に対する台数が十分でないことが認められた。また、大量の洗濯物や乾燥まで済ませるには、コインランドリーが便利であったことが認められた。洗濯物を干す場所は、避難者同士で工夫していたが、下着を干すことを気にしない人がいる一方、干すことを辛そうにする若い女性もいた。
 支援物資では、下着不足が大きな課題であった。また、震災後は雪が降り寒さが厳しかったが、着の身着のままで避難した人が多数であり、火災を恐れて火で暖をとることができない状況下では、早急な防寒着等の支援が必要であった。

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