一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
68回大会(2016)
セッションID: 3F-02
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口頭発表 5月29日 食物
蘇った「石鎚黒茶」の成分と風味の特徴
*内山 裕美子高橋 貴洋築舘 香澄岡本 由希加藤 みゆき大森 正司
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キーワード: 味覚センサ, , 石鎚黒茶
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抄録



目的 後発酵茶は,大きく3種に分類されている.好気的カビ発酵のプアール茶,嫌気的バクテリア発酵の阿波晩茶やミヤン,好気・嫌気2段階発酵茶の碁石茶・石鎚黒茶などが知られている.中でも石鎚黒茶は,数年前にその製造者が高齢のために製造をやめてしまったものであるが,今回,東京都西多摩郡檜原村で製造再現実験を試みた.本研究では,今回製造した再現石鎚黒茶の化学分析,味覚センサでの分析などを行い,再現石鎚黒茶の成分と風味において特徴的な知見が得られたので報告する.

方法 試料には,再現石鎚黒茶,阿波晩茶,碁石茶,および愛媛県西条市で近年製造されている天狗黒茶を用いた.再現石鎚黒茶の製造方法は,従来製造されていた石鎚黒茶の方法に準拠して行った.なお,石鎚黒茶が製造されていた時,発酵過程から分離同定した微生物を培養し,再現石鎚黒茶製造工程に応用した.各茶葉3gを500mlの純水(100℃)で5分間沸騰を続けて得た浸出液を急冷し,味覚センサ測定サンプルとした.カテキン,カフェイン,アミノ酸は阿南,津志田らの方法に準じてHPLCにより分析を行った.

結果 再現石鎚黒茶に含まれるカテキン類はEGCGやECGなど,ガレート型カテキン類が大きく減少しており,以前に分析を行った石鎚黒茶と同様の傾向であった.味覚センサによる測定の結果,そのプロファイルから,味わいのあるバランスを示しており,濃さ・ボディ感が強く,しっかりとした飲みごたえを感じることができるものであった.また,二次元散布図を作成したところ,再現石鎚黒茶のポジショニングは他の試料とは明らかに異なっていた.

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© 2016 一般社団法人 日本家政学会
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