抄録
目的 身近な食材のタマネギの廃棄部分である外皮を用いて,絹布の染色をおこなった。紫色ならびに茶色のタマネギを染材として用い,染色液の濃度と温度,浸漬時間,媒染液の種類と濃度を変えて染色し,得られた布の色調を比較,検討した。
方法 タマネギ外皮とその20倍の重量の水を混合し,穏やかな沸騰状態を維持し,液量が約4/5になるまで加熱して色素を抽出した。染色液10 cm3に5×5 cm2の絹布(JSA,JIS染色堅牢度試験用添付白布,14目付,平面重54.6 g/m2,厚さ0.10 mm)を浸漬(浴比1:80)して染色した。濃度を20~100%,温度を5~100℃,時間を15 min~24 h,媒染剤をMg,Al,Ca,Fe,Cu,Tiの6種類,媒染液濃度を5~200mmol/dm3と変えて染色した。染色布は分光式色彩計で色差を測定し,耐光堅牢度および洗濯堅牢度を調べた。
結果 紫タマネギ抽出液には,酸性で赤色を呈するアントシアン系色素とケルセチンなど黄色色素が含まれると考えられた。染色温度を変えた結果,紫タマネギを用いて5~25℃で染色した場合は赤みの強い染色布が得られたが,これは低温の染色では黄色色素の染着が抑えられる一方,赤色色素の染着は抑えられず,赤みが強く出るものと考えられる。80~100℃では茶色タマネギに近い褐色に染まった。6種類の金属を用いた媒染染色では様々な色調の染色布が得られたが,紫タマネギの方が色のバリエーションが多かった。染色液濃度や時間を変えた結果について,また,耐光ならびに洗濯堅牢度試験の結果についても報告する。