一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
69回大会(2017)
セッションID: 3I-04
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口頭発表 5月28日 食物
ネパールで生産された茶の成分と風味の特徴
*内山 裕美子高橋 貴洋築舘 香澄山下 まゆ美岡本 由希加藤 みゆき大森 正司
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キーワード: ネパール, , 味覚センサー
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抄録

目的 ネパールの紅茶はイラム地方(ネパール東部、インドダージリンと国境を接している地方)において生産されている。しかし、世界の茶の生産量490万tに比べると、ネパール紅茶の生産量は僅か2万t(0.4%、2014年)である。イラム紅茶はその立地・気候・製造条件などを勘案し、予備調査による官能所見の結果から上質であると判断された。今回は2016年にネパールのイラム地方を訪問し、イラム紅茶について調査・実験し、知見が得られたので報告する。
方法 試料は、ネパールのイラム地方で2016年に生産された15種類の紅茶を用いた。分析した成分は、カテキン(酒石酸鉄法およびHPLC法),カフェイン(HPLC法),アミノ酸(アミノ酸分析計)で、常法により測定した.水色は官能評価法に準じて浸出し、380nmで比色するとともに溶媒分画法で検討した。さらに味覚センサーを用いて、同試料溶液についてうま味,渋味,苦味などを測定するとともに,官能評価により風味の特徴の検討を行った.
結果 イラム紅茶は、ダージリン地方と地理的条件や気候等が類似していることから、官能所見としては、いわゆるマスカットフレーバーと称されるダージリン紅茶特有の芳香が漂っていた。含有成分についてはカフェイン2.5%、ポリフェノール11%、カテキンは5%と、ダージリン紅茶と同様の値であった。浸出液については、溶媒分画法で、MIBK画分等の水色も薄く、フレーバーに力点のおかれた紅茶であることが示唆された。味覚センサーを用いて測定したところ、渋味が少なくてボディ感も控えめなものが多く、素材感・複雑感が際立っているものと考えられた。

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