主催: (一社)日本家政学会
会議名: (一社)日本家政学会第69回大会
回次: 69
開催地: 奈良女子大学
開催日: 2017/05/26 - 2017/05/28
目的 沖縄県の特産柑橘であるシークヮーサーは主にジュース加工に用いられているが,搾汁効率は50%程度であり,ポリメトキシフラボン類であるノビレチン等を多く含有する搾汁残渣「葉」および「果皮」の用途開発が課題である. 昨年,我々は,in vitroでシークヮーサー葉・果皮抽出物に脱顆粒抑制効果を見出してきた. 本研究では,in vitroにおける葉・果皮抽出物による脱顆粒抑制効果の熱安定性および作用機序を検討するとともに,マウスを用いたin vivoで抗アレルギー効果を明らかにすることで,葉や果皮などの未利用部位に新たな機能性を付与することを目的とした.
方法 in vitroでの抗アレルギー作用は,抗DNP-IgE抗体で感作させたラット好塩基球様細胞株RBL-2H3細胞からのDNP-HSA抗原刺激により惹起される脱顆粒現象をβ-hexosaminidase放出活性および細胞内Ca2+濃度により評価した. また,in vivoでの抗アレルギー作用は,各抽出物をBALB/c雌マウスに経口投与後,受動皮膚アナフィラキシー(PCA)反応により評価した.
結果 シークヮーサー葉・果皮抽出物は,60分の煮沸処理下でも脱顆粒抑制効果を保持したことから,活性成分は強い熱安定性を有し,細胞内へのCa2+流入を抑制することで脱顆粒抑制効果を発現することが明らかになった. また,葉および果皮抽出物投与群は,コントロール群と比較すると有意にPCA反応を抑制したことから,マウスにおいても抗アレルギー効果を示すことが確認された. さらに,葉・果皮抽出物によるPCA反応の抑制レベルは,in vitroでの結果と異なったため,ノビレチン以外の抗アレルギー活性成分の存在が示唆された.