一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
69回大会(2017)
セッションID: 2F-02
会議情報

口頭発表 5月27日 住居
地域コミュニティとしてのふれあい・いきいきサロンの包括性と持続性に関する研究
長期継続サロンの実態と課題
*中村 久美
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録



目的 介護保険法の改正により要支援レベルの高齢者は地域でケアすることが前提となる一方、平成28年3月に閣議決定した住生活基本計画によると、高齢者を中心に住民の居住安定確保が重視され、高齢者同士や高齢者と若者の支え合いによる居住の仕組みづくりが求められている。住民による住民のための地域福祉事業である「ふれあい・いきいきサロン」は、地域居住政策としてもさらに重要性を増すと考えられる。本研究は、地域福祉機能を包含するコミュニティ拠点としてのサロンの包括性、持続性を備える仕組みを検討することを目的とし、まずは長期に活動を継続するサロンの実体と持続性への課題を明らかにする。

方法 10年前に調査した宇治市のふれあい・いきいきサロン11事例のその後の活動状況の追跡調査(社協や各サロンへのヒアリングおよびサロンの参与観察)、平成8年の宇治市のサロン開設期からの活動継続サロンへの調査。調査期日は2016年4月~9月。

結果 既調査対象11サロンのうち、現在も活動を継続しているのは8サロン、非継続の3サロンはいずれも開設時点ですでに高齢者であった代表者の入院等の事情によるものである。前回調査時点で運営代表者が高齢者であった継続サロン5サロンのうち4サロンは代表者を支えるボランティアの中から代表者が引き継がれている。継続サロンの参加者数は前回調査時と比較して現状維持、または若干増加。施設入所等で不参加となった人に代わり新規参加者が断続的にあり、代表者の継続意欲の高いサロンほど、その傾向は強い。開催場所は個人宅よりも集会所が安定性があるが老朽化の問題を抱える。代わってサ高住等の地域開放集会室の使用が注目される。継続のかぎは参加者の新陳代謝のしくみ、会場空間の開放性、安定性、それにサロン外の支援者の存在。

著者関連情報
© 2017 一般社団法人 日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top