主催: (一社)日本家政学会
会議名: (一社)日本家政学会第69回大会
回次: 69
開催地: 奈良女子大学
開催日: 2017/05/26 - 2017/05/28
目的:日常生活の食に関して、今でこそ精白米が主食と思われているが、戦前には主食として何を食す れば良いのか、何が適しているかとの論争があった。それは、七分搗き米・胚芽米・玄米であり,これらが健康によいと主張する人達がいた。この3種類の米の特徴をふまえながら、日本の主食の系譜を明らかにすることを目的とする。
方法:文献検索を主に、各主張をまとめる。
結果:日清・日露戦争中、多くの兵士が脚気で死に、その原因が分からず、脚気菌説まで飛び出した。鈴木梅太郎によりビタミンB1が発見され、脚気がビタミンB1欠乏症であることを発見・証明したのが島薗順次郎(東京帝国大学第1内科)であった。そのビタミンB1は胚芽に多く含まれているので、胚乳に胚芽をつけた胚芽米が良いとしたのであった。7分搗き米を主張したのは佐伯矩(国立栄養研究所)である。搗き減りも少なく、経済的にも好ましく、嗜好的にも、消化吸収の点からも七分搗き米が最良とした。玄米食の方は医師の二木謙三が玄米を完全食と呼び、健康のために玄米食を普及していた。この系譜は明治時代に石塚左玄により提唱された玄米菜食の食養会の流れである。