主催: (一社)日本家政学会
会議名: (一社)日本家政学会第69回大会
回次: 69
開催地: 奈良女子大学
開催日: 2017/05/26 - 2017/05/28
目的 化粧の方法は流行に応じて変化している。その背景として,理想の顔も同様に変化していることが推測できる。そのため,現代では,理想のイメージを演出するために,化粧道具やその色などを複雑に組み合わせた方法を用いて化粧が行われている。すなわち,化粧は従来のような単純に印象を向上するものであるとは言えない。そこで本研究では顔の対称性に着目し,顔の対称性からみたイメージとの関係性について分析する。そしてイメージから得られた理想の顔を具現化し,その実現に向けた化粧について示唆を得ることを目的とする。
方法 大学生の男女を対象に,好まれる顔を明らかにするため,顔画像を選択する項目を含む質問紙調査を実施した。また,使用した画像の顔の対称性について分析を行った。さらに,被験者自らが化粧を施す実験的検証を行い,顔の対称性,印象について被験者による自己評価と評価者による他者評価を用いて考察した。
結果 好まれる顔のイメージは男女で異なることが明らかとなった。一方,男女とも,好まれる顔と顔の対称性には関連性がみられた。さらに,化粧行動における対称性に対する意識もイメージの形成に関わることが示唆された。また,印象の評価には,評価者と被験者との関係性による影響がみられ,今後の課題が明らかとなった。以上より,顔の対称性を指標とすることで,より具体的なイメージの形成を実現する化粧の方法を提案できると考えられる。